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 昨年7月にウクライナ東部で起こったマレーシア航空機の撃墜事件で、墜落原因の調査を主導してきたオランダ安全委員会が今週、最終報告を発表した。

 調査では、親ロシア派が支配する地域から発射されたロシア製の地対空ミサイル「BUK(ブーク)」によって撃墜されたと結論付けた。回収された機体の再現によって、ミサイルが航空機の先頭部分、操縦室の左上約1メートル程度の至近距離で爆発し、破壊力を強化するために弾頭に仕込まれた大量の金属片が機体を襲ったことがわかった。

 さらに英紙ガーディアンによると、操縦室にいた3人のパイロットは最初のミサイルの爆発で即死したと見られ、遺体からは爆発時に飛散した多くの金属片が見つかった。このうち2つの金属片が「BUK」に特徴的な「蝶ネクタイ」の形をしていたことが、ミサイル特定の決め手の一つとなった。

 また機長の遺体をオランダの航空専門家が検分した際、「遺体に混入した物体を除去する作業がすでに実施されていた」こともわかった。撃墜現場で、証拠隠滅が図られていた可能性を示している。

 今回の調査では、ミサイルを発射したのが誰かを特定することはしなかった。今後は刑事事件として、オランダの他、ウクライナ、マレーシアなどが参加する国際合同チームの捜査にゆだねられることになる。

墜落現場では機長の遺体から証拠となる金属片が除去されていたことがわかった Maxim Zmeyev-REUTERS


再現された操縦室の様子。ミサイルは操縦室から約1メートルの近距離で爆発したと見られている Michael Kooren-REUTERS

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部