日本の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は、台湾でも大人気だ。ところでこのところ台湾では、南部の屏東県に“こち亀の派出所”が実在した」と評判になっている。22日には「両津勘吉」がやって来るということで、さらに多くの人がつめかけた。

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 日本の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は、台湾でも大人気だ。ところでこのところ台湾では、南部の屏東県に“こち亀の派出所”が実在した」と評判になっている。22日には「両津勘吉」がやって来るということで、さらに多くの人がつめかけた。

 台湾でも大人気の「こち亀」だが、中国語版のタイトルは「烏龍派出所」だ。中国語の「烏龍」には「お間抜け」という意味がある。一方、台湾南部の屏東県には「烏龍派出所」があった。「あった」というのは、1991年に「興龍派出所」と改名されたからだ。

 それでも数年ほど前から、もともとの名は烏龍派出所だった、つまり“こち亀の派出所”だと、注目を集めることになった。すでに、台湾の「こち亀」ファンが、足を運ぶ“聖地”ですらあるという。そこで現地警察は、「せっかく有名になったのだから、警察のPRに役立てよう」と考えた。

 まず、「こち亀」主人公の両津勘吉に風貌が似た警察官を選んだ。選ばれたのは佐林文欽巡査だ。佐林は22日、「興龍派出所」つまり「実在版こち亀派出所」に出向き、防犯などのPRイベントに“主演”することになった。

 佐林巡査自身は、台湾で放送される「こち亀」を欠かさず見ているほどのファン。両津の表情やしぐさもバッチリのはずだった。

 多くの人が集まった。台湾メディアの蘋果日報(アップル・デーリー)、中央社、自由新報などの取材陣も駆けつけた。蘋果日報は「香取慎吾も顔負け。台湾版、実物の両津勘吉が登場」などと報じた。

 ただ、集まった人からは「たしかに似ているけど眉毛がつながっていない」、「下駄を履いていない」、「腕まくりをしていない」、「まともすぎる警察官」などの声が「苦笑」ともに出た。同じく足を運んだ警察署長は「こちらの両津は真面目な警察官でして。漫画とは違うんですよ」との説明を繰り返したという。

 「興龍派出所」には100年以上の歴史がある。設立されたのは日本統治時代の1898年だ。現在は建物前に旧名や歴史を簡単に紹介するプレートが設置されている。なお、台湾や中国の「派出所」は日本の「交番」よりも大きく、「警察署」に相当する規模である場合が一般的だ。

 中国大陸では「こち亀」が放送されていない。詳しい理由は明らかでないが、中国では一般的に、軍や警察、政府組織などを“おちょくる”内容とみなされる娯楽作品の公開は難しい。

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◆解説◆
 「烏龍(ウーロン)」の本来の意味は「黒龍」。恵みの雨をもたらすが、仲間の「青龍」がいないときに出現すると、大雨によって人々に災難をもたらすとも考えられた。

 1990年ごろまでに、英語の「own goal」に発音が似ているとして、サッカーの「オウン・ゴール」を「烏龍球(ウーロンチゥ)」などと呼ぶようになり、さらに「お間抜け」なことや人物を指すようになった。

 なお、「ウーロン茶」の名称については諸説があるが、「煎じる際に湯の中で茶葉がほぐれていく様子が、黒龍の動きのようだから」などの言い方もある。

 台湾の烏龍村は、「烏龍」に「お間抜け」との意味が生じる前からの地名だった。(編集担当:如月隼人)(写真は蘋果日報の同記事掲載頁キャプチャー)