学生の窓口編集部

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地名はその土地の地形、歴史、建物、産物、動植物、人々の職業等々に深く関連しています。ただ、東京の場合は徳川幕府以降に急速に発達した街なので、新しい地名が多いという特徴があります。

そのため、世田谷区の三軒茶屋などは、都市伝説でもなんでもなく、名前の由来となった三軒のお茶屋さんのうち、一軒がまだ現存していたりします。

こんなふうに都内にはユニークな由来の地名てんこもり。いくつかご紹介しましょう。

●三軒茶屋(さんげんぢゃや/世田谷区)

住みたいまちアンケートで上位にランキングされることの多い人気タウン三権茶屋。今も昔も交通の要所として栄えるこの街は、かつては旅人の休憩地として茶屋や酒屋が並んで賑わっていたようです。

その中に、しがらき・角屋・田中屋という3軒の茶屋があり、これが三軒茶屋の由来になったのだとか。そしてそのうちの1軒、田中屋が今も(2015年7月現在)「田中屋陶苑」として営業を続けています。

●用賀(ようが/世田谷区)

東名高速道路の起点の地としても知られる用賀。その名はズバリ「ヨガ」がからきているといわれています。

平安末期から鎌倉初期、この地には僧が修行するための瑜伽道場(ゆがどうじょう)があったそうです。近年になりこの地を所有したお寺の山号が瑜伽山だったことで、それが地名になったようです。瑜伽とはサンスクリット語で、ヨガの語源にもなった言葉です。

●恵比寿(えびす/渋谷区)

お洒落タウン恵比寿。かつてこの地にサッポロビールの工場があったことを知る人も多いことでしょう。恵比寿ガーデンプレイスがその跡地です。そしてここで作っていたのがヱビスビールでした。このビールの名前にちなんで恵比寿駅ができ、その後、正式に町名になりました。

●亀有(かめあり/葛飾区)

「こち亀」でお馴染みの亀有ですが、元々の地名は亀無(亀梨とも)だったのです。ところが、江戸幕府が国図を制作する際、地元の人達が「無し」は縁起が悪いというので「亀有」に変えてしまったのだそうです。

●墨田(すみだ/墨田区)

澄み渡る川、川の中州を意味する"州田"からきている等、すみだの由来には諸説あります。じつは、それ以上にややこしいのが漢字表記です。同じすみだでも、川は隅田で、区は墨田と表記が違います。

かつては、これ以外にも、角田などとも書き表されていたのですが、明治以降になり「隅田」に統一されました。しかし、墨田区ができた昭和22年には当用漢字で「隅」という字がなかったため、古くから使われていた「墨」という字が区の表記になったのだそうです。

●五反田(ごたんだ/品川区)

タワーマンションも多く、オフィス街や歓楽街としても活気あふれる五反田ですが、かつては目黒川岸の谷間の低地にある小さな集落だったようです。五反田の「反」は面積をあらわす単位で、1反は約300坪というので、たしかに5反では小さな村だったことがしのばれます。

明治44年に星製薬の工場と山手線の駅ができたことで急激に発展し、今のような大きな街になったのだとか。

地名には様々な由来があります。調べてみるといま住んでいる街の思わぬ歴史を発見できるかもしれませんよ!

参考:「まるごと1冊!東京の地名の由来」(浅井建爾・監修/株式会社ユーキャン学び出版)