どうしようもなく寂しい夜におすすめ! 女子のための「官能小説」4選

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「どうしようもなく寂しい。心のスキマが埋まらない。だからといって、本命以外の男性と、食事をしてデートをして……。そういうのも、ちょっとちがうしなあ……」女子の皆様は、そんな風に悶々と悩んだ夜はありませんか? 

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今回は、どうしようもなく寂しい夜・眠れない夜に読んで頂きたい、女子におススメの、とびきり素敵な「読みきり官能小説」を4冊ご紹介したいと思います。

あなたの隣にきっといる、とびきりキュートで、人間らしい女子の物語を、心行くまで楽しんでもらえれば嬉しいです。

官能小説初心者におススメ!〜恋愛官能小説アンソロジー〜

「女性向けの官能小説って、一体何を読めば良いの?」
そんな疑問を持つ方も、きっとたくさんいらっしゃるかと思います。
そんな方にまず読んで頂きたいのが、女性作家が女性のために書き下ろした、恋愛官能小説アンソロジーです。

ハードで生々しい男性向け官能小説とは一線を画し、リアルで共感できるストーリー展開に加えて、女性ならではの繊細な感情がしっかりと描かれています。一冊の本に、数名の女性作家さんの作品が収録されているので、自分に合ったものを探すのも楽しいです!

特におススメなのが、「略奪愛」をテーマに描かれた、書き下ろし恋愛官能小説集『きみのために棘を生やすの』(河出書房新社)そして、様々な形の愛が描かれた気鋭女性作家による官能アンソロジー『密やかな口づけ』(幻冬舎文庫)です。

『きみのために棘を生やすの』は「略奪愛」をテーマに描かれていますが、おどろおどろしい作品が少なく、声にならない声をあげたくなるような、思わず涙がでる作品がほとんどです。

介護する孫に悪態をつくおばあさんが主役の「朧月夜のスーヴェニア」(窪美澄)で、戦時中の恋愛に心を揺さぶられ、“男に愛されている、求められている――”その瞬間だけを求めずにはいられない、そのためなら魔性になる女が主役の「それからのこと」(花房観音)にゾッとする……。また、同棲相手が急に持ち込んだ“文鳥”に嫉妬しながらも、世話を続ける女性の恋物語「かわいいごっこ」(彩瀬まる)に思わず背中を押されたりなど、女性のいくつもの「顔」を堪能できるお話でした。

また、『密やかな口づけ』は、どちらかというと息苦しい話が多いのですが、背徳感が、読んでいて多少癖になるので、おススメです!(笑)

娼館に売り飛ばされ、「姫」と呼ばれていた女性に4年間調教されていた少女のお話「ポルノ姫」(吉川トリコ)は、何だかおとぎ話を読んでいるような感覚になります。
また、大きい胸をもてまし、男女共に散々な目に合わされてきた女性が、その現実に向き合うお話「星屑おっぱい」(朝比奈あすか)もラストで何かがバーンと弾けるような、不思議な感覚が味わえます。

また、ピアノを弾く男性の「指」に惹かれ、生徒と関係を持ってしまうピアノ講師が登場する「指と首」(宮木あや子)は、それはもう背筋が寒くなるラストが待ち受けています……。

2作品共に、色々なタイプの女性が登場し、様々な愛の形が描かれているのですが、「え?そこを切り口にして官能的なお話が展開するの?」とワクワクしながら読めるものもあれば、「うわっ。女ってやっぱり怖い……。でも女はみんなどこかに“棘”を隠し持っているよね……」と妙に納得させられる作品もあり、様々なシチュエーションで、最高の官能アンソロジーが楽しめるかと思います。

30歳を前に、仕事もオシャレもダイエットもセックスもやめちゃった!

次にご紹介したいのは、日本の女性向け官能小説の盛り上がりの先陣を切ったとも言える、選考委員も読者ターゲットもすべて女性と言う文学賞「女による女のためのR-18文学賞」の大賞・読者賞をダブル受賞した吉川トリコさんの『しゃぼん』(集英社文庫)です。

こちらの本は、とびきりリアルでキュートな女子たちが出てくる短編集なのですが、特に印象に残っているお話は、表題作である「しゃぼん」でした。

「しゃぼん」は、30歳を目前に、とある事情により、おしゃれもダイエットもセックスも仕事もやめて、ピザ屋でバイトをする恋人の「ハルオ」と一緒に暮らしている「花」が主人公です。

花はニートですが、家事もしないし、お風呂もたまにしか入らず、匂いをハルオに注意されるような暮らしをしています。それどころか、鼻血を出しながら生理にもなってしまい、服を汚して「上から下から血ぃ出して」とあきれられることも。

花は「頑張っても、いつか若さは失われるのだから、それなら今からもっと醜くなればいい」と思い、どんどん太り、醜くなっていきます。
30歳を前に、恋人との関係や、家族や友人の変化、少しずつ若さが失われていく外見を、とても恐れている花……。

確かに、30前になると一気に周りの環境や自分の身体が変化し始め、心がついていかない……なんてことはよくありますが、そんな花を甘やかし、優しく見守るハルオ!もはや神の域です(笑)。

過激な性描写は出てきませんが、長年一緒にいる二人の間に流れる密な空気感や、テンポの良い会話のやり取りが、とても面白く気持ちが良いです。

「誰になんて言われようと、一生女の子でいたい。恋人にもかわいがられたい。年齢にあらがうのは大変だけど、私の中にまだ“女の子”は残っているので!それ、捨てたくないので!!」と思う女性、必見です。

大好きな人と、素敵に歳を重ねていく方法が、見つかるかもしれません。

「あのう、私、今、欲情しておるのですが」

最後にご紹介したいのは、こちらも「女による女のためのR-18文学賞」出身者である、窪美澄さん作の『よるのふくらみ』(新潮社)という小説です。

このお話は、排卵期で「あのう、私、今、欲情しておるのですが。あなたとセックスがしたくてたまらないのですが」と、保育士をしている29歳の「みひろ」が、同じ商店街で、幼いころから一緒に育ってきた「圭祐(けいすけ)」に心の中で語りかけるシーンから始まります。

文房具店の娘「みひろ」は、酒屋の息子「圭祐」と結婚前提で同棲しているのですが、セックスレスのカップルです。一緒に暮らして2年になるのに、もうずっとセックスをしていない。子どもがほしいのか、ただセックスがしたいだけなのか……。自分の意思を無視して反応する身体をもてあまし、焦燥感でいっぱいの「みひろ」の前に、ずっと彼女のことが好きであった、圭祐の弟の「裕太」が現れ、事態はさらにややこしくなっていきます。

本書は連作短編集で、6つのお話が登場人物の視点を変えながら進められます。
「性」というよりも、日常に密着した生々しい「生」が描かれており、一見平和な小さな商店街の中で起こっている、本音と建前と、自己矛盾にあふれた世界観に、強く惹きつけられます。

まるで、私たちのすぐ隣で起こっている問題をのぞき見されたかのようなお話でした。

「セックスは妊娠するために行うもの」と思い込む「圭祐」。そんな彼に惹かれ結婚を決意したものの「いんらんおんな」と呼ばれた自身の母親のことが頭から離れず、心も身体もままならない「みひろ」。そんな彼女に想いを寄せながら、別の女性に目を向ける「裕太」。

人間の情けない感情や、「やめておいた方が良い」と頭ではわかっているのに、どうすることもできない衝動が、とてもリアルに描かれています。

読み終わったら、なんだか泣きたくなりました。このお話に出てくる人は、全員ずるい(笑)。だけど人間ってそんなものだし、ままならない心と身体に支配されながらも、希望を見つけて生きていくしかないのだなあ……とも感じ、どこかにほのかな光が見えるお話です。

今回の「読みきり官能小説特集」はいかがでしたか? 今回ご紹介した本は、どこか情けなくて、いつも言い訳をするリアルな女性にスポットを当てた小説ばかりです。
「官能小説」と言うくくりで収めるのは、おかしいかもしれません。
生きていくには、どうしても、ままならない心と身体がついてまわる。「寂しい」と思えば、気がついたらとんでもない行動に出てしまっていた! なんてこともありますよね……。そんな時、良かったら今回ご紹介した小説を読んでみてください。そこには、私たちと同じような主人公が、時に嘘をついたり、傷ついたりしながらも、「性」と「生」にどこまでも貪欲に生きている様子が描かれています。

眠れない夜、女の子の心の隙間を、埋めてくれるかもしれません。