Huluの海外コンテンツ買い付け担当の関根恭子さんにインタビュー。法廷ものや医療ものなど、リアリティのあるドラマがとくに好き。

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海外ドラマが大好きだ。
エキレビ!でも、
『ニュースルーム』
『ハンニバル』
『オーファン・ブラック〜暴走遺伝子』
『12モンキーズ』
などをレビューしてきた。
ほとんどがHuluの配信で観たものだ。
「Huluの海外ドラマ買い付けの人をインタビューできるんだけど、どうする?」と編集長からメールがきた。
あの面白いドラマをどう「買い付け」てくるのだろう。
担当のひとはきっと膨大な数を観ていて、超おもしろい作品を知っているに違いない。これは、聞き出さねば。
というわけで、コンテンツアクイジションマネージャー関根恭子さんに突撃です。

「買い付け」の仕事って?

──「買い付け」の仕事ってどういうものですか?
関根:私の場合は、Huluで配信している主に海外のコンテンツを選んで、権利元と交渉し、条件等を決めて契約を締結するまでの仕事です。
──どうやって選ぶんですか?
関根:日々リサーチです。取引先から情報を得たりもします。「12モンキーズ」などは映画のテレビシリーズ化ということでタイトルの認知度があって、話題になっていたので、注目していました。
──いちはやく情報を得る必要がありますよね?
関根:テレビ番組の見本市というものがありまして、4月と10月に年2回、ハリウッドのスタジオは5月のロサンゼルス・スクリーニング。そこで新作発表や営業があるので、そういった形でも情報を入手しています。

どれぐらい観るの?

──「これは、いける!」っていうのは、観て決める?
関根:そうですね、必ず見て決めます。
──ふだんどれぐらい観ますか?
関根:どれぐらい……量ですよね、むずかしい。観るのも仕事の一部なので、毎日習慣的に見ています。
──いける、となったら契約?
関根:その前に条件面の交渉ですね。

「日本初登場」にこだわるわけ

──独占契約が一番いい?
関根:弊社の場合、必ずしも独占にこだわっていません。「日本初登場」ということは意識しますね。
──どうして?
関根:Huluのお客様は、海外ドラマが大好きな方が多いので、スタンダードなものはもちろんのこと、日本初であるとか、他にはないテーマのもの、配信ならではのものが人気があります。
──新鮮なものをいち早く観たい、と。
関根:本国の放送からどれだけ速く日本に出せるか。スピード配信という言い方をしていまして、一ヶ月以内、速いものですと二週間で配信しています。
──二週間!
関根:字幕をつける作業などもありますから、タイトなスケジュールです。
──日本初上陸だと、どのぐらい日本で人気がでるのかも博打ですよね?
関根:そうですね。当然、リスクはあります。そこは、お客様がどのような作品を求めているかリサーチをしたり、宣伝担当と協力したり、多くの人と連携してやっています。「12モンキーズ」などは、うまく連携できて、人気作品になっています。

海外ドラマの状況って?

──海外ドラマの状況ってどうですか?
関根:配信サービスも増えてきて、以前よりも海外ドラマに触れられる機会が増えてきているのではないでしょうか。手軽に観られるので、ファンも増えてきています。アメリカに限らずいろいろな国のものが観られるようになってマーケットが拡がってきていますね。
──いろいろな国のもの?
関根:最近はイギリスのドラマも人気があります。ベネディクト・カンバーバッチ主演作など。アメリカのものとテイストも切り口も違っていておもしろい。Huluでも、2月〜4月は毎月新作UKものを出していて、とても好評です。

英国ドラマがおもしろい

──『Utopiaーユートピアー』!
関根:観て頂いていますか?
──はい。寝る前に観てて、泣きそうです。
関根:かなり緊張感のあるタイプのドラマです。映像の色が綺麗で、音楽も素晴らしい。観た瞬間にこれはぜひ、と思って、買い付けたものです。
──英国ドラマって、あんなに面白いのたくさんあるんですか?
関根:『トンネル 〜国境に落ちた血』もお勧めです。ドーバー海峡トンネル内のイギリスとフランスの国境線上で死体が発見されて、両国の捜査官が事件に巻き込まれていきます。オリジナルはデンマークのドラマです(『THE BRIDGE/ブリッジ』)。舞台をアメリカとメキシコに移したアメリカ版(『ブリッジ〜国境に潜む闇』)もあって、次々とリメイクされている人気作です。

好きな作品ベスト3

──関根さんが好きな作品を3つ教えてください。
関根:ドラマでしたら「ロイヤル・ペインズ 〜救命医ハンク〜」。セレブを相手にする“コンシェルジュ・ドクター”の世界が描かれていて、無理難題にこたえるべく活躍するんです。リアリティ番組だと「レイチェル・ゾーのセレブスタイル」。セレブ御用達のスタイリスト、レイチェル・ゾーの毎日を追った番組。周りの人も個性的ですが、本人自身も個性的な人で、その生活が垣間見える、女性に人気のある作品です。あとは「サタデー・ナイト・ライブ」! アメリカの大人気音楽バラエティ番組です。コントと音楽のパフォーマンスで構成されていて、ブルース・ウィリスさんやレディー・ガガさんがコントをしたり、音楽ライブには旬のアーティストが沢山登場します。
──ドラマだけじゃなく幅広いジャンルからのベスト3ありがとうございます。
関根:海外へ行っても、その国ではどんな番組が人気なのかが気になって、テレビをつけてしまいます。
──プライベートな旅行でも?
関根:ついつい。もっと外に出て観光すればいいのに(笑)。

「インタビューした後は、記憶が薄れないその日のうちに原稿化するべし」が、ぼくの鉄則。
なのだが、この日は、帰宅後、がまんならず『トンネル 〜国境に落ちた血』の第一話、『サタデー・ナイト・ライブ』のキャメロン・ディアスがMCの回と、『12モンキーズ』を観てしまった。海外ドラマ、おもしれぇ。

(米光一成)