ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第17回公判が23日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。ライブドアファイナンス(LDF)で企業買収の交渉を担当をしていた元シニアマネージャーの男性が証人出廷。出版社を買収・転売する際の経緯などを証言した。

 これまでの公判で、検察側はLDが企業買収の際に介在させた投資事業組合はダミーであり、LDと事実上一体であると主張。この日、男性はこの検察側の主張に沿った証言を行った。

 男性の証言によると、LDFが出版社「マネーライフ」を買収する際、LDFの定例会議やメーリングリストを通じて、堀江被告には交渉経過が随時報告されていた。最終的にマネーライフは、「VLMA2号投資事業組合」(業務執行組合員は投資会社「バリューリンク」)が株主になるが、買収交渉などは男性が行い、買収の意思決定にバリューリンクは関与しなかった。さらに、マネーライフはLDFの買収後に3000万円の増資を行ったが、この時もバリューリンクは関与しなかった。

 また、マネーライフをライブドア・マーケティング(LDM)に転売する際、男性は上司である宮内亮治被告(39)=分離公判中=と中村長也被告(39)=同=の指示により、株式交換比率や交換時の株価を計算したと証言。本来の企業価値は1億円と見られていたが、宮内被告に企業価値が4億円になるように計算するよう求められたという。

 この点について弁護側が経緯を正すと、男性は宮内被告からLDMの前身であるバリュークリックジャパンなど2社の合併コンサルティング料などを上乗せするからと説明されたと証言。企業価値を4億円と計算するために、将来の経常利益を3900万円としたと語った。対して弁護側は、マネーライフはLDFによる買収後、急激に業績を伸ばしたとし、3900万円はそれほど実体と離れてはいないと指摘した。

 次回公判は25日の予定。【了】

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