今年4月に英国南部のケント州の海辺で、ずぶ濡れで発見され、謎の天才ピアニストとして一躍、話題となった「ピアノマン」の正体がついに明らかになった。ピアノマン自身が、自分がドイツ人で同性愛者だと病院関係者に告白したと、英国の大衆紙デーリー・ミラーが22日付(電子版)で伝えた。同紙によると、ピアノマンは19日に、突然、話し出し、パリで働いていたが、失業し、英仏間を走る特急列車「ユーロスター」に乗って、英国にやってきた。その後、海岸で自殺未遂をしたところ、警察に発見されたという。

  ピアノマンは全くしゃべれず、また、ピアノ演奏についても、ピアノの絵を描いたあと、鍵盤の一つを続けて叩いていただけで、それをメディアがピアノを弾いたと伝えたとし、実際にはピアノを全く弾けないことも分かった。彼は、精神病患者のために働いたことがあり、精神科の医師をだますことが出来たとしている。また、ピアノの絵を描いたのは、たまたま、頭に浮かんだから、と答えている。ただし、発見されたとき、過度に精神的に落ち込んでいたのは事実のようだ。

  ピアノマンは20日、飛行機でドイツに帰った。彼の身元については、ドイツで農園を営む父親がおり、2人の姉妹がいると伝えられている以外、明らかにされていない。ピアノマンの治療に数万ポンドを費やした英国の病院関係者は、訴訟を検討している。 【了】