かつて日本は、国民の八割が自分の生活は「中の上」だと認識しているという、いわゆる「一億総中流社会」を形成していた。戦後の高度成長期を背景として、誰もが自分の望む仕事に就けて、毎年給料が上がっていって、会社は手厚く社員の面倒を見てくれて、退職する時は子供のマイホーム購入に一役買ってやれるだけの退職金を用意してくれる― そんな夢みたいな時代が確かに存在した。だけど近年では、たび重なる経済危機、グローバ