中国・陝西省西安市内の病院で、患者がまだ寝ている手術室で医師らがVサインなどして記念撮影したことで猛烈な非難が発生した事件で、患者自身は治療に感謝しており、撮影にも同意したとして、騒ぎが大きくなったことに当惑していることが分かった。人民日報が報じた。

 手術を受けたのは同省銅川市にすむ男性のBさん。7月24日に足を負傷した。複数の病院を回ったが、治療は難しいとして拒否されたり、足を切断するしかないと言われ、途方に暮れた。最終的に西安市内の鳳城医院(病院)が治療を引き受けた。

 最初の手術は午後11時から翌日午前7時までかかった。2回目の手術は8月15日で、午前10時から午後5時まで行われた。

 Bさんは「わたしは手術台の上に横たわっていましたが、先生方は立ったままでした。とてもご苦労でした」と述べた。

 執刀責任者だった鄭暁菊医師は、手術終了直後の様子について説明した。「患者の足切断を避けることができました。外見もきれいにできました。(手術室にいた)医師は全員、とても喜びました。苦しい戦いを勝ち抜いた時と同じでした」という。

 同病院では8月16日から新しい手術室を使うことになっていた。Bさんに対する2回目の手術は、古い手術室での最後の手術だった。記念撮影をしたのはそのためという。鄭医師は「9年間、立ち続けてきた手術室です。愛着の気持ちは抑えられません」と述べた。

 Bさんは「先生がたが写真を取るのは知っていました。私は同意しました」と述べた。Bさんは、インターネットのことをよく知らない。しかし「先生がたはあんなに苦労して私の足を保ってくれた。どうして大勢の人が先生がたを批判するのか、納得がいきません」と当惑しているという。

 医師のひとりが8月16日、「永遠に記憶する値ある手術」との見出しで、状況を説明する文章と写真をインターネットで発表した。

 12月20日になり、医療関係者と称するインターネットユーザーが同写真を紹介して「医師も患者もきびしい状況にあるのに、手術と同時にあなた方は何をやっているのか?」と批判した。その後、テレビ局が同話題を取り上げたことで多くの人が知ることになり、インターネットでは写真撮影した医師らを非難する書き込みが殺到した。

 翌21日までに書き込みが100万件以上寄せられたネット配信の記事もあった。

 西安市衛生局は21日になり、同問題の調査を開始。同日午後10時、病院側に「反則点4点」の行政処罰を科すことを決めた。

 衛生局の処罰の理由は「医師スタッフが手術室内でマスクをはずした」ことだった。鳳城医院の李建栄副院長は「手術室でマスクをはずしたことは、たしかに不適切でした」と認めた上で、メディアによる病院批判の報道が過熱していることに疑問を示した。

 人民日報は「メディアが事実を確認せず報道。世論の嵐を誘発」と、これまでの報道を批判した。

 一部メディアは、「市衛生局は関係者を免職処分にした」と報じたが人民日報によると、Bさんの手術を執刀した鄭医師は平常通り、23日も手術を行った。(編集担当:如月隼人)