中国メディアの新華社は10月28日、南京市でこのほど行われた海洋生態に関する学術交流会において、「30年後も海の幸を食べたいのであれば、海の環境を守ることが喫緊の課題だ」と警鐘が鳴らされたと伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの新華社は10月28日、南京市でこのほど行われた海洋生態に関する学術交流会において、「30年後も海の幸を食べたいのであれば、海の環境を守ることが喫緊の課題だ」と警鐘が鳴らされたと伝えた。

 記事は、2011年に発表した中国海洋発展報告を引用し、中国の1万8000キロメートルにのぼる海岸線のうち、1万キロメートルがすでに何らかの形で自然の姿が失われており、埋め立てや干拓のほか、工業地帯化によって海洋環境に大きな負担をもたらしていると指摘した。

 さらに、中国では近年、海の富栄養化による赤潮やクラゲの大発生が問題となっていると紹介。「クラゲが大発生し、海の生態系が変わってしまうと元の環境を取り戻すことが極めて困難になる」と指摘し、手遅れになる前に適切な措置をとることが何よりも重要だと論じた。

 また記事は、米国の学術雑誌「サイエンス」が、「乱獲や汚染が海洋環境を破壊している」と指摘したうえで、「現在の速度で破壊が進めば2048年には食べられる魚がいなくなる可能性がある」と論じたことを紹介。さらに中国水産科学研究院の金顯仕所長の発言を引用し、「乱獲や埋め立て、汚染、気候変動などが中国の海洋生態にもたらす影響が甚大であることは間違いない」と指摘。

 さらに、中国の近海は汚染や環境破壊が深刻化しつつあり、すでに漁獲量に影響が出ていると指摘。さらにサンゴ礁やマングローブの森なども大半が失われているとしたほか、東シナ海に面する浙江省では3分の1の海域で底生生物が絶滅状態にあると伝えた。また、黄渤海漁場や舟山漁場など中国の「4大漁場」ではいずれも漁業資源が枯渇状態にあると指摘し、金顯仕所長の発言として、「中国にとって海洋環境の保護が喫緊の課題だ」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)