ベジタリアン生活を成功させるための注意点とは?「野菜のみは栄養失調になる危険」

写真拡大

そもそもベジタリアンとは、宗教上、健康上、道徳上の問題から、動物性食品を摂(と)らない食生活を実践するひとたちのこと。

正しく行えばダイエットにも良いのは明確ですよね。では、ベジタリアン生活を成功させるためにはどのようなことに注意したらよいのでしょうか。

ベジタリアンといっても、いくつかのタイプに分かれていて、欧米では、植物性食品に牛乳やチーズ、卵などを加えたスタイルが多いそう。

でも、徹底して植物性食品しか摂(と)らないビーガンと呼ばれるひとたちや、植物も殺さないという理由で大根や玉ネギなどの根菜すら摂(と)らないというひとたちもいると聞きます。

まず、ベジタリアン生活で一番気をつけないといけないのは栄養について。植物性食品だけでは、タンパク質、ビタミンB12、オメガ3脂肪酸(EPA、DHA)が不足しがちです。

ハーバード大学の研究者によると、ベジタリアンはタンパク質は一日80g以上摂取しており、必要量を充足していると言っています。

タンパク質は20種類のアミノ酸からできていて、そのうち体内で合成されない必須アミノ酸が9種類。大豆などの豆類と、米や小麦などの穀類を両方摂取することにより植物性食
品だけで補うことが可能です。

もちろん、卵や乳製品を摂取するベジタリアンであれば、タンパク質について心配する必要はありません。

ビタミンB12は、卵や乳製品を摂取すれば補給できるものだけれど、植物性食品ではほぼ皆無の栄養素。

のりなどの海産物やみそなどの発酵食品に微量に含まれているという専門家もいるのだけれど、ベジタリアンの栄養研究家によると、植物性食品に含まれるビタミンB12はいずれも不活化型の栄養素で、体内でその本来の役割を果たすことができないとも言われているんです。

ビタミンB12が不足すると葉酸と共同で赤血球の生成を助けることができず、深刻な貧血を引き起こしたり、また神経伝達障害を発症して、ウツ病や認知症にかかる可能性を高めてしまいます。

同様の症状が、厳格なベジタリアンに多く見られたことから、最近ではサプリメントで摂取するよう呼びかけているそう。

それから、オメガ3脂肪酸は、本来魚介類に多く含まれているもの。これを植物性食品で摂(と)るとなると、くるみ、フラックスオイル(亜麻仁油)、キャノーラオイル(菜種油)などから摂取する必要があります。

オメガ3脂肪酸が不足すれば、脳神経系にダメージをもたらし、ウツ病、情緒不安定などを引き起こす可能性が増すので注意が必要。

これまで、玄米を主食にしたベジタリアンは、フィチン酸を多く摂(と)り過ぎる傾向にありました。フィチン酸が多くなると鉄分、亜鉛、カルシウムなどの体内吸収が損なわれるという問題もあります。

そこで、フィチン酸の過剰摂取を防ぐために、玄米を発芽玄米に変えてみたり、精白米を混ぜたりと工夫しているそう。

また、ミネラル不足を補うため、鉄分補給にはみそや納豆をビタミンCとあわせて摂(と)ったり、亜鉛補給には大豆や穀類を発芽・発酵させた状態で摂(と)ったり、さらに、カルシウム補給にはシュウ酸の少ないブロッコリーや白菜、チンゲン菜などから摂(と)るなど、それぞれ吸収性を高めるよう知恵を凝らした食事方法を考えているのだとか。

栄養的な知識が無く、いきなりベジタリアン生活を始めれば、健康になるどころか、体調や精神を崩すことにもなりかねません。ダイエットや健康のためにと考えるなら、週に数日だけベジタリアンデーを設けるとか、卵や乳製品はOKにするなど、無理をせずに取り組んでみてはいかがですか?