ソフトバンク社が、米ボストン・レッドソックスを買収する?  
 
 ソフトバンクは16日に会見を開き、今回の買収を発表。孫正義社長は「今回の投資は成功する」と、買収劇の成功に自信をのぞかせた。
 
 もちろん、これは冗談。ソフトバンクが買収したのは、米国の携帯電話市場で3位のシェアを持つスプリント・ネクステル社。このスプリントを、資産価値10億ドルで、米メジャーリーグ3位のレッドソックスに置き換えただけだ。(読者の方々も、目くじら立てて怒らないでくださいね) 
 
 冗談はさておき、仮に日系企業がメジャー球団の買収に乗り出したら、はたして上手くいくのだろうか。答えは限りなくノーに近いだろう。 
 
 メジャーリーグには30球団あるが、日系資本の球団は、岩隈久志川崎宗則が所属するシアトル・マリナーズだけ。マリナーズの筆頭オーナーは、任天堂の米国法人であるNintendo of America社だ。 
 
 マリナーズは1992年に任天堂の傘下に入ったが、この買収劇にも大変な紆余曲折があった。 
 任天堂の山内溥当時社長が1月、マリナーズの買収を発表すると、現地の球界関係者は猛反発。シカゴ・ホワイトソックスのオーナー、ジェリー・ラインズドルフ氏がオーナー会議で、映画「フィールド・オブ・ドリームス」の1シーンを上映し、ベースボールが米国のものであることを強調すれば、当時のコミッショナー、フェイ・ヴィンセント氏も同調。「メジャーリーグは、米国やカナダ資本以外の参入を断固拒否する方針をとってきた。外国資本は球界では歓迎されないだろう」と、任天堂のマリナーズ買収に断固反対した。 
 
 はたして6月に入り、ようやく買収が承認されたが、これにはマリナーズを巡る特殊な事情も絡んでいる。当時のマリナーズは今と変わらず、長期に渡り低迷。観客動員数の伸び悩み、慢性的な赤字を抱えていた。 
 これを受け元球団オーナーは、フロリダの投資家グループに売却を検討していたが、これにワシントン州のスレイド・ゴートン当時上院議員が反発。マリナーズは、シアトルで頑張るか、フロリダで心機一転するのか、揺れ動いていた。 
 そんな背景があるから、シアトルをチームの本拠とする任天堂に軍配が上がった。 
 
 任天堂によるマリナーズ買収劇にはこんな背景があったのだが、こんな特殊な事情が無い限り、日系企業のメジャー球団買収は難しいだろう。 
 
 まして、レッドソックスは名門中の名門。本拠地のフェンウェイ・パークは今年、開場100周年を迎えた。 
 そんな名門球団を日系企業が買収することを、メジャーリーグ関係者、現地のファンが認めるはずがない。 
 
 でも先月、現地の経済専門チャンネル、FOXビジネス(電子版)が「レッドソックスの首脳が球団売却を検討している」と報じていた気が・・・。(オーナーのジョン・ヘンリー氏は完全否定した)