パナソニックは30日、世界最高の太陽エネルギー変換効率で、太陽光のみで二酸化炭素と水から有機物を生成する人工光合成システムを開発したと発表した。

 今回開発した人工光合成システムの特長は、「バイオマスで使用される植物と同等(0.2%)の効率を実現。しかも生成される有機物の量は太陽光量に比例して増加」、「金属触媒や反応環境を最適化することにより、生成される有機物の種類を選択可能」、「光合成システムを無機材料のみで構成することに成功し、単純な構造を実現」など。

 同システムは太陽光を照射する光電極に窒化物半導体を使用し、有機物を生成する電極に金属触媒を使用することで効率0.2%(主生成物:ギ酸)を実現している。この効率はバイオマスで使用される植物と同程度であり、同システムにより、植物に代わって、これまで不要なものとして排出されていた二酸化炭素を原料として、有用な有機物(化学原料、燃料など)を生成することが可能となった。

 これまでは、太陽光から二酸化炭素が反応するエネルギーを得るために、異なる材料の光電極を複数組み合わせて使用しなければならず、構造が複雑だった。また、二酸化炭素の反応には特殊な錯体が使われているが、一般的に照射光の強度を増やしても反応電流量が追随せず、太陽光の強度を十分に利用できないという課題があった。

 しかし今回、「窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す光電極技術」、「有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術」の採用により、世界最高効率で有機物を生成できる人工光合成システムの開発に成功した。