映画『HOME 愛しの座敷わらし』 (C)2012「HOME 愛しの座敷わらし」製作委員会

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 MOVIE ENTERの新人編集部員であるマサキが、ビビビ! ときた映画を紹介します。今回は、4月28日より公開となる映画『HOME 愛しの座敷わらし』。座敷わらしとは、岩手県を中心に現れるといわれる精霊のような存在。座敷わらしがいる家は栄え、座敷わらしが去った家は衰退すると言われています。そんな座敷わらしが、ある家族の再生のきっかけになる作品です。

 本作は、「相棒」シリーズで10年以上に渡り主演を務める水谷豊が『逃れの街』以来28年ぶりに単独主演を果たします。安田成美、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の濱田龍臣、『告白』の橋本愛、草笛光子らが共演。監督は、同シリーズの和泉聖治が務める。

あらすじ

 家でも会社でも居場所がない晃一、夫の脳天気さに不満な妻・史子、友人関係に悩む中学2年生の梓美、喘息のため過保護に扱われる小学4年生の智也、認知症の症状が出始めてきた晃一の母・澄子。一緒に暮らしているのに、心がバラバラな高橋一家は、晃一の転勤で岩手県の片田舎にある築200年の古民家へ引っ越すことになる。苦労しながらも田舎暮らしに慣れてきた頃、不思議な現象が起こり始める。一家の住む家には、座敷わらしが居ついていたのだ。その座敷わらしをきっかけに、それぞれが自身を見つめ直し、家族の絆を再生していく。

「普通のサラリーマンを演じたい」

 原作は、荻原浩の初となる新聞連載小説として、朝日新聞夕刊紙上に掲載された同名小説。単行本発売後には、第139回直木三十五賞の候補にも選出されました。この原作が映画化されたのは、水谷がホームドラマ製作を願ってのこと。今まで演じたことのない“普通のサラリーマン”を演じたいという水谷の願望と熱意に賛同した「相棒」のスタッフらとともに今回の映画化が実現しました。家から最寄りの駅まで自転車で30分かけて通勤している晃一を演じる水谷のサラリーマン姿は、なかなか新鮮です。また、安田の母親役ぶりもなかなかのもの。安田演じる史子は、都会暮らしに慣れているため、田舎特有のご近所付き合いが苦手。ましてや、史子の住む家の隣家は遠く、引越しの挨拶をするのも一苦労です。そんな史子の姿もまた、水谷と同じく“普通”の母親のようでした。

家族の絆を結ぶのは?

 バラバラになってしまった家族の再生に必要なもの、それは第三者の介入だと監督は言います。本作でその役目を果たすのは、タイトルにもある“座敷わらし”はもちろんのこと、古民家にある囲炉裏もそのひとつ。家族で囲炉裏を囲うシーンは、物語の中で重要なシーンになっています。今の時代、家に囲炉裏がある家族はなかなかないかもしれません。都会に住む家族にとっては、食卓を囲うことに置き換えられるでしょう。最近、家族との会話が減ったな、と思った方は、是非一度、家族みんなでひとつの食卓を囲んでみましょう。もしかしたら喧嘩になるかもしれません。それも家族の絆を深める方法のひとつになるでしょう。

岩手県の自然を堪能

 ロケは、岩手県遠野、岩手山、盛岡、滝沢村、雫石町、花巻で行われました。多くの自然に囲まれた撮影に安田は「こんなにのんびり仕事をしていいのか」と思うくらい居心地が良かったそう。座敷わらしの存在を強調するために映像に盛り込んだ風に揺れる草木の姿や音は、岩手県の持つ美しい自然を存分に感じさせます。撮影中、29連泊し、一度も帰京しなかった水谷は、その自然に惚れ込んだひとり。実際にロケ地となった場所へ行ってみたくなります。

 また、映画の公開に合わせ、原作者の荻原は、新たに創案した絵本「ここにいるよ ざしきわらし」を製作。小説、映画、絵本という3つの楽しみ方があり、どれもほのぼのした仕上がりで、休日に家族みんなで観る作品にぴったりです。MOVIE ENTERでは、本作の試写会のプレゼントを掲載しています。(4月8日締切)

映画『HOME 愛しの座敷わらし』は、4月28日(土)より全国公開。

映画はビビビ! のマサキの所見評価

ほのぼの度:★★★★

岩手県の魅力度:★★★★

水谷豊のサラリーマン度:★★★★★

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編集部的映画批評

映画『HOME 愛しの座敷わらし』 - 作品情報
映画『HOME 愛しの座敷わらし』試写会 - プレゼント

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