川口和久氏とともに、熱弁を奮ったスポーツジャーナリスト・二宮清純氏

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来年1月の開催に向け、今野球ファンの間で大きな話題となっているのが、“野球ジャーナリスト検定2009”だろう。

大手プロバイダ=ソネットが主催をする同検定では、成績優秀者に資格を認定するばかりか、ライターへの登用や、専門求人情報サイトから求人情報が優先的に届くようになるなど、“野球好き”を仕事に結びつけられるお膳立てが随所に用意されているのだ。

12日(土)には、都内で対策セミナーが行われ、検定委員に名を連ねるスポーツジャーナリスト・二宮清純氏や野球解説者・川口和久氏が講師として参加。検定の傾向&対策はもちろん、ジャーナリストの心得から、ここでしか聞けないような野球の裏話が存分に語られ、セミナールームにぎっしり埋まった約50名の参加者は大いに盛り上った。

1997年、当時最強の布陣といわれた巨人を倒し、優勝したヤクルトを率いた野村克也監督が、その開幕戦で巨人の出鼻を挫いた配球論理に始まり、「江夏の21球」では、なぜ江夏が苦手な球種であるカーブを多用したのか――、といったファン垂涎のエピソードを惜しげもなく披露した二宮氏。

ジャーナリストという仕事については、「取材の基礎は状況とか環境から調べないといけない。これが大事なポイント。風はどっちから吹いているのか? 気温は? 料理人の仕事は食材から集める。いい記事を書こうと思ったら、色んな情報を集めるのが大事」と語った。

また、「場の論理。例えば、ボクシングで一番大事なことはリングを調べること」と続けた二宮氏は、「チャンピオンサイドがリングの広さやロープの張りを決めれる。ハードパンチャーなら(相手が逃げられないように)リングは狭い。足を使う選手ならリングは広い。全部が場の論理。これを調べないといけない。最近は、すぐ人間ドラマになっちゃうけど、全てが場の中に書いてある」とジャーナリストの心得を説いた。

さらに、広島や巨人で活躍した元プロ野球選手でもある川口氏は、「野球は様変わりしています。今は真っ直ぐだけ速くてもダメ。変化球全盛の時代。バットの重さも、かつては900から950グラムだったのが、最近は880から910グラムを使っているんですね。バットを軽くすることで変化球に対処できるように。また、ボールも中にウールを巻くようになったんですね。ウールは反発力が高くなるので初速が上がるんです。某M社から聞いております」と笑いを織り交ぜつつも、時代とともに変わる野球のスタイルや、その奥深さを選手ならではの視点で紹介した。

なお、同検定はインターネット検定となるため、当然、試験中でも、他のサイトを調べて答えを見つけることが可能となるが、同検定でもこれをよしとしている。

なぜなら、同検定は野球に関する「知識」や「マニアック度」のみならず、「調査力」、「分析力」、「筆力」といった、まさに野球ジャーナリストに問われる総合力が試されるからだ。ゆえに、規定時間内に効率よく調査を行い、答えを導き出すというのも、ジャーナリストにとっては必要な能力ということになる。

本セミナーの後半には、スポーツ出版業に携わる福島恵一氏が、「(某出版社が)大リーグ名鑑を出されたけど、これが嘘八百。なぜなら、全部、日本のウィキペディアを写して作ったからなんです。これはウィキが間違っているわけではなく、海外のウィキを日本語のウィキに写してくるときに(翻訳などを)間違えている。インターネットの情報は、決して一次資料ではない。国会図書館にいって新聞をあたったり、色んなところに足を運んで色んなものを調べて下さい。色んな本を読んで下さい」と注意を呼びかけた。

そんなセミナー後の質疑応答では、スポーツジャーナリストを目指す学生の参加者などから熱心な質問が相次ぎ、2時間半という長丁場も終わってみればアッという間。野球ファンの熱気を大いに感じさせるセミナーであった。“野球ジャーナリスト検定2009”の受験は、年明けの1月14日(木)〜2月15日(月)となり、申し込みは今月25日まで受け付けている。

■関連リンク
野球ジャーナリスト検定2009公式サイト