活火山の麓に暮らす鹿児島県民に不可欠の生活情報とは?

写真拡大

9月末迄ですでに250回以上の爆発が観測され、「今年は桜島が元気だ」という声をよく耳にする。そして桜島の爆発の副産物として「降灰」があり、鹿児島県民を悩ませている。「降灰」とは爆発によって上空に吐き出された火山灰が風向きによって鹿児島市や錦江湾(鹿児島湾)沿岸、その他に降り落ちる現象で、一瞬にして街を灰色に塗り替えてしまう。

ひとたび降灰に見舞われると、いたる所がザラザラで灰まみれ、洗濯物も外に干せず、外出することすら億劫になる。そこで地元メディアでは「桜島上空の風向き」を、毎日の天気予報と一緒に報じ、鹿児島県民はこの予報と桜島の噴火の具合を見ては一喜一憂するのだ。
ところでこの鹿児島ならでは(というより、鹿児島以外では必要性がない?)の「桜島上空の風向き予報」は、いつから報道されるようになったのだろう?

早速、鹿児島地方気象台に問い合わせてみると、意外なことに「記録がない」とのこと。海面から1500m上空の風向きは昭和58年(1983)3月から実況が、昭和60年(1985)から予想値が発表されているが、鹿児島地方気象台では「桜島上空の」風向きとして県民にむけて発表したわけではなく、おそらく当時のどこかのメディアが始めたものではないか?ということらしい。

そこで実況値の発表が始まった当時に開局していた地元テレビ局数社に問い合わせてみると、どうやら「ふるさとたっぷりMBC」のキャッチフレーズでお馴染みのMBC南日本放送が最初なのでは?ということが判明した。

当時、気象担当の報道部デスクで、現在はMBC常務取締役で気象予報士でもある川辺建生氏によれば、日本上空800m、1500m、3000mの観測ポイントの数多くのデータのうち、鹿児島湾上空1500mのポイントデータを「鹿児島市上空の風」として鹿児島地方気象台が発表を始めた。そこでMBCでは標高1117mの桜島に合わせて、数字のみだった上空1500mポイントのデータを社員がソフトを作り矢印をつけてCG化し、生活情報として県民にも分かりやすい「桜島上空の風向き」として報道し始めたという。これによって矢印が画面左側を指せば(つまり西方向)鹿児島市方面に、右側を指せば(つまり東方向)垂水市、鹿屋市方面に風が吹き、桜島が爆発すれば風下に当たる地域に灰が降る可能性が高い、ということがひと目でわかるようになったのだ。

昭和58年といえば、桜島の火山活動がかなり活発で、それこそ毎日のように桜島が爆発し、降灰だけでなく噴石による被害も多かった頃。それだけに「今日は自分たちの住む街に灰が降ってくるのかどうか」は大きな関心ごとだっただけにこの「桜島上空の風向き」予報はどんなに役立ったことだろう。その証拠に現在ではメディアを越えて鹿児島県の天気予報には欠かせない情報となっている。

(Written by おばらけいこ)

MBC気象情報
http://www.mbc.co.jp/weather/index.html

【Nicheee!編集部のイチオシ記事】
日本最恐のバンジージャンプ
「ハンサムらーめん」 ハンサムの真相に迫る
イイ女が集う 「悪女学研究所」って、知ってる?
あのロングセラー商品も初めは新商品だった!「ヨード卵・光」に隠された秘話
ウェディングケーキはもう伸びないのか