TBS系で不定期に放送されていた「ウンナン極限ネタバトル!ザ・イロモネア 笑わせたら100万円」がレギュラー番組となった。10組ほどの芸人が5つのジャンルのネタを披露するネタ見せ番組なのだが、賞金100万円を獲得する芸人を決めるのは、会場に集まった一般の観客だ。少し複雑なルールを説明しよう。

 会場には100人の観客。その中から芸人のネタ見せ前に無作為に5人が抽出され、審査員となる。誰が審査員に選ばれたかは当の芸人と観客はわからない。この状態で芸人はネタを見せるのだが、これにも縛りがある。「一発ギャグ」「モノマネ」「ショートコント」「モノボケ」「サイレント」の5つのジャンルから1つずつクリアーしていく必要があるのだ。クリアー条件は5人の審査員のうち3人が笑うこと。1分間で3人を笑わせることができなければその時点で失格となる。ネタを1つクリアーするごとに賞金は徐々に上がっていき、ラストチャレンジとなる5回目のネタをクリアーすることで100万円が芸人のものとなる。ただし、ラストチャレンジをクリアーするには5人の審査員全員を笑わせなければならない。

 おわかりいただけただろうか。一般の観客が、芸人の賞金額を決めるわけだ。観客が審査員のネタ見せ番組といえば「爆笑オンエアバトル」(NHK)があるが、こちらはまったく違ったシステムとなっている。それにより採点のシビア度も若干違ってくるのではないだろうか。オンバトはゴルフボールをレールに流すことで得票数をカウントするが、あれは番組ファンなら一度はやってみたい行為。ゆえにどうしても得点が甘くなってしまうこともある。しかし、イロモネアは逆だ。誰が審査員に選ばれたかわからない状態の中、自分の一笑いで結果が変わってしまうとなると、観客はなぜか笑いを抑えてしまう。実際に放送では笑いをこらえてこらえて、ついに吹き出してしまう審査員も見受けられた。これは興味深い。前提に審査の辛さがあれば、ネタは必然的にレベルの高いものになるだろう。

 私見で申し訳ないが、ネタ見せ番組での公開収録は危険だ。芸人と観客が一体となって会場を盛り上げる、非常に素晴らしいことではあるが、テレビの前の視聴者との温度差が生じる。会場に居並ぶ特定の芸人ファンがお目当ての芸人が出てきただけで大歓声を上げたところで、その熱は視聴者には伝わらない。過保護なまでに笑いすぎる観客をモニターごしに見ると、おもしろいと思っていた芸人に対しても急に冷めてしまう。フレーズ芸での手拍子は少々耳障りに感じられることすらある。観客の声は『志村ー、後ろ!後ろ!』レベルにまで達しなければ番組をつまらなく感じさせてしまうリスクをはらんでいる。

 だが、イロモネアの審査員には厳しさがある。その厳しさの中でしか生まれない笑いもあるだろう。イロモネアはネタ見せ番組で初めて一般の観客が生きる番組になるのではないかと、密かに期待している。

(編集部 三浦ヨーコ)

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