11日放送、MBS「戦え!スポーツ内閣」では、今季限りで現役を引退した阪神タイガース・安藤優也(39)が16年のプロ野球人生で貫き通したことを特集した。

正確なコントロールとキレのある変化球を武器に、先発で8年、中継ぎで8年と、与えられた役割を着実にこなしてきた安藤。2003年には阪神の18年ぶりとなるリーグ優勝を経験し、2008年からは当時の球団史上初だった3年連続開幕投手も務めた。

しかし、2011年シーズンを負傷で棒に振ると、翌年復帰を果たしたものの、今年はついに1軍登板がないまま終盤戦へ。安藤は9月に「体力的な衰え」から引退を決意し、「いろんなことがあった16年」と、発表会見で涙を流している。

雨天順延で2度も延期となった引退試合を翌日に控えた9日、安藤は番組の取材に「正直、早く引退したい」「早く終わらせたいという気持ちのほうが強い」と冗談交じりにコメント。阪神での16年間で貫いてきたことを問われると、「小さいときからピッチャーは表情を表に出すなという教えだった」と、どんな状況でも表情を変えなかったことを挙げた。

実際、安藤は痛打を浴びても、ピンチを華麗に切り抜けても、決して表情を変えずに「仏頂面」と呼ばれた。気持ちを相手に悟られてはならず、「ピッチャーたるものクールでいろ」という教えが染みついていたからだという。

取材で「(最後は)笑おうかな」「僕が笑ったら気持ち悪いでしょ」と笑顔で話した安藤は、10日の引退試合で第1打者にホームランを許すと、マウンド上でほほ笑んだ。さらに、続くバッターを同じく引退する新井良太のファインプレーで切り抜けると、今まで見せることのなかった笑顔で「ありがとう」と盟友に感謝。最後のマウンドで笑顔を見せてから、現役生活に幕を閉じた。

セレモニーで2児の父の顔も見せた安藤は、日本一になれなかったことだけが心残りとコメント。後輩たちにその夢を託し、485登板、77勝、11セーブ、76ホールドという成績でユニフォームを脱いだ。

VTR中に目を潤ませた司会のタレント・武井壮は、「最後の笑顔に全部が表れている」とコメント。野球を愛した安藤の人生は「素敵」だったと賛辞を寄せた。