SLIDE SHOW FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN 「あまりにも巨大で荘厳なドイツのパイプオルガン・13選」の写真・リンク付きの記事はこちら

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「パイプオルガン」といわれたら、あなたは何を想像するだろうか。宗教的なモチーフが散りばめられた教会のパイプオルガン? それとも、コンサートホールのステージ奥に鎮座する巨大なパイプオルガン? いずれにせよ、あなたが想像したものは、単なる「楽器」というより教会やコンサートホールといった「空間」ではないだろうか。パイプオルガンは、その美しい音色もさることながら、建築物と一体化するような巨大さによって唯一無二の存在感を放っている。

この楽器の起源は、ギリシャ時代にアレクサンドリアでつくられた水圧オルガン「ヒュドラウリス」にあるといわれている。その後オルガンはアラビアやギリシャに広まり、中世以降はローマを中心としたキリスト教会に取り入れられることで、現代のわれわれにとっても馴染み深いパイプオルガンが完成した。

7世紀には、すでに教会へオルガンが導入されていたといわれており、オルガンは教会の威厳を表すためにどんどん巨大化の一途をたどった。それらは単に巨大化しただけでなく、宗教的な装飾が施されることで独自のヴィジュアルをつくり上げ、多くの人々を魅了してきた。なお、世界最大のパイプオルガンとして知られる、米ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールにつくられたオルガンには、3万本以上ものパイプが使われているという。あまりにも巨大なその姿は、楽器というよりも、むしろ装置や建物と呼んだ方がしっくりくるようにも思われる。

ドイツ出身の写真家、ロバート・ゴーツフリードもまた、パイプオルガンに魅了されたひとりだ。「幼いころよく教会を訪れていたんです。宗教的なことにはピンときませんでしたが、オルガンは特別な存在でした」とゴーツフリードは語る。そんなゴーツフリードが2017年にドイツのバイエルン州を回って撮影したパイプオルガンをまとめたのが、作品『PIPES』だ。彼が撮影したパイプオルガンは、ひとつとして同じデザインのものなどなく、それぞれが強烈な個性を放っている。

「わたしは印刷やデザイン、写真について学んできたのですが、これらはすべて『グラフィック』に関するものです。では、パイプオルガン以上に『グラフィカル』なものがあるでしょうか?」とゴーツフリードは語る。「だからこそ、パイプオルガンを撮影しなければならないと思ったんです」。ゴーツフリードはパイプオルガン以外にも、ボーリング場やプールなどさまざまな被写体を撮影しているが、彼は一貫して「グラフィカル」なテーマを選んでいるのだという。

ゴーツフリードが「オルガンは非常に大きな音を鳴らすのに、これらの写真は人々を静謐で落ち着いた気持ちにさせているように思います」と語るように、彼の写真からは音楽が聞こえてくるというより、荘厳なパイプオルガンに対する敬虔な気持ちが立ち上がってくる。パイプオルガンとは、演奏されていないときでさえ観るものの心を揺さぶる、特殊な楽器なのかもしれない。

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