東京ディズニーシーで公演中の「ファッショナブル・イースター」 ©Disney 撮影 / YOSHI

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2017年6月14日まで、東京ディズニーシーで公演中の「ファッショナブル・イースター」。

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2015年のイースター時期にも公演され、2年ぶりに復活したショーです。

現在公演中のこのショーの魅力のひとつは、2015年のタイトルをそのまま引き継いだ再演のショーでありながらも、前回の物語を踏まえた「続き物」のようなストーリーになっている点。

いわば「ファッショナブル・イースター "リターンズ"」とも捉えられるようなショーに仕上がっているんです。

物語の鍵を握る、4人のファッションアーティストたちの会話と行動を比較しながら、時間の流れや人間関係の変化を探ってみましょう。

4人のアーティストの距離感に明らかな変化が!

2015年のバージョンと今年(2017年)のバージョンを比べると、ストーリーの大筋は変わっていません。

東京ディズニーシーの4つのエリアから集まったアーティストたちが、自分のデザインしたファッションが1番だと言い争いますが、ミッキーの一声によりお互いの個性を認め合って仲直りする、…という内容です。

ところが、注意深く見てみると、4人の距離感が2年間で大きく違っていることに気づきます。

2015年の時の4人は、最初はただのライバル同士。

25分間の公演時間のうち、前半11分もの長い時間「わたくしの前を横切るとは何て失敬な!」「愚かな機械文明に毒されたサビ臭い服!」と、割と本気でお互いを罵りあいます。

ところが2017年、ふたたび出会った彼らは、1度は認め合った仲。

自分のデザインに自信まんまんな点は変わりませんが、お互いのファッションだけでなく、人間的な個性をよく知っている感じが会話から透けて見えてきます。

この「距離感の変化」が特に感じられる3つのシーンをご紹介しましょう!

1) 4人のアーティストの、登場方法の違い

まず注目したいのが、ショーのオープニング。

2015年は「これぞ我が軍!」と言わんばかりに、4人のアーティストが別々の船に乗って姿を現しました。

ところが、2017年は4人が同じ船に乗って登場します。

実は2015年の公演の終盤、仲直りした彼らは船を乗り換え、4人でひとつの船に乗って帰って行ったんです。

今回も同じ船に乗って登場することで、「たまには言い争うけど憎めない仲」という、前回の終わりのシーンから変わらない友情が存在している様子を示しているのでしょう。

2) ヒューゴーの決めゼリフを遮るグローリア

ショーの中盤に出てくる、ミステリアスアイランド出身の"ヒューゴー"の発言と、アメリカンウォーターフロント出身の"グローリア"の二人のやりとりにもご注目。

「ファッションは時代がつくる! そして時代はこの俺が…」

「はいはい、もう時間よ!」

ヒューゴーの発言を遮るグローリアの声だけを聞くと、「ヒューゴーなんかのために時間を割くくらいなら、私がもっとしゃべりたい!」という彼女の思いが見える感じがしますね。

その解釈も正しいとは思うのですが、実は2015年、ヒューゴーは自分の自己紹介の際、独特の熱気あふれる言い方でこんな発言をしたんです。

「ファッションは時代がつくる!

そして時代は俺がつくる!」

一昨年のこの発言の存在を鑑みると、グローリアがヒューゴーの会話を遮ったのは、単にでしゃばりたいからだけではないのかもしれません。

前々から何度も繰り返し、この熱苦しいヒューゴーの発言を聞いていたからこそ、飽き飽きとして思わず遮ってしまったとも考えられますよね。

3) 念押しの言葉「前にも言ったでしょう?」が見せる友情の重み

もうひとつ、ヒューゴーとグローリアの会話の中に、2年という時間の経過をうかがわせるシーンがあります。

それは、最後に4人のアーティストたちが見せる別れ際のやりとり。

「そうか…もう、終わりなのか…」(中略)

「前にも言ったでしょう? 私たちは、ひとつの海でつながっている!」

実は2015年にも、別れを寂しがるヒューゴーのつぶやきに、グローリアは同じような受け答えをしていました。

「なあみんな、また会えるかな?」

「もちろんよ。私たちはひとつの海で、つながっているんだから!」…と。

2017年の「ファッショナブル・イースター」が、単なる一昨年の再演なのであれば、過去の発言をそのまま繰り返すこともできたでしょう。

でも、グローリアが今年あえてした「前にも言ったでしょう?」という念押しは、一度それぞれの地に帰り、また2年ぶりに再会できた仲間どうしだからこそ確かめ合える強調表現であるはず。

実に重みのある念押しですよね。

時の流れや、それに伴う人間関係の変化を感じられるのは、ミッキーらディズニーの仲間たちだけでなく、人間であるアーティストたちも主役ばりに活躍する「ファッショナブル・イースター」ならでは。

ぜひこの記事を参考に、2015年からの続き物を見るような、新しい視点からも「ファッショナブル・イースター」を楽しんでみてくださいね。