95億円赤字見通しの三陽商会 不採算2ブランドを追加廃止

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 三陽商会が10月28日、構造改革と新経営計画の目指す方向性について発表した。現時点では不採算2ブランドの追加廃止や、人員整理、存続ブランドと不採算売場の効率化といったコスト削減施策に加え、保有株式と遊休資産の追加売却や投資案件の見直しといった資産効率化施策の実施を決定。来年2月に新経営計画を公表する予定だ。なお追加廃止される2ブランドの詳細は未発表となっている。 【画像を拡大】

 三陽商会は今年7月、2014年に公表した「中期5ヵ年経営計画」をバーバリーライセンス事業の終了と、これに替わるマッキントッシュ ロンドン及びブルーレーベル / ブラックレーベル・クレストブリッジ事業の初年度実績が計画を大幅に下回り、既存事業の業績も計画に届かなかったことを理由に一旦取り下げることを発表。これに伴い、杉浦昌彦代表取締役社長を委員長とした経営改革委員会を設置した。10月末を目処に具体的な政策を備えた経営計画の公表に向けて進めてきたが、今日の会見は構造改革の進捗状況と経営計画の目指す方向性の報告となった。 短期的な課題として「同社の実力に見合う水準までの人員削減」「低収益・低成長のブランド・売り場の撤退」「保有資産の圧縮」、中期的な課題として「新たな成長戦略の策定」を掲げ、これらの課題を踏まえてこれまで250名の希望退職者の募集や、「ポール・スチュアート スポーツ(Paul Stuart SPORT)」「バンベール(VINVERT)」「アレグリ(allegri)」「フランコ・プリンツィバァリー(FRANCO PRINZIVALLI)」の来年2月の撤退、棚卸資産・保有株式の圧縮、役員報酬の削減の5つの施策に着手。今日、来年8月を目処に不採算2ブランドの追加撤退と、不採算170売場の削減、存続売場における販売人員の効率化の3つの施策の実行を発表した。現時点での構造改革施策の実行で見込めるコスト改善額は累計45億円程度と想定。また、コスト削減に合わせ、来年3月までに保有銘柄数を20銘柄から11銘柄に削減、遊休資産(保養所・美術品・ゴルフ会員権)の追加売却、本社新別館ビル建設を来年2月まで一時凍結し、50億円の資金を確保する。 今後の成長の方向性に関する課題認識と改革方針については、主販路である百貨店チャネルの縮小や主領域であった中価格帯衣料マーケットの縮小といった外部環境の変化に対応し、現状を維持しつつも非アパレル領域と直営チャネルの展開拡大を通じた成長を目指す。現在、マッキントッシュ ロンドン及びブルーレーベル / ブラックレーベル・クレストブリッジ事業の事業計画未達を受け、商品MDの見直しや店舗別採算性管理の徹底などにより建て直しを図っている。 2016年12月期第3四半期決算は、売上高が478億7,500万円(前年同期比35%減)。2016年12月期連結業績予想は売上高700億円(前年比28.1%減)、営業損失68億円、経常損失66億円、親会社株主に帰属する当期純損失95億円としている。