地方出身の女性が東京に上京するタイミングは、実は3回あります。

第1の波:「ファーストウェーブ」地方の高校を卒業し、東京への進学。

第2の波:「セカンドウェーブ」地方の学校を卒業し、東京への就職。

この2つの波はよく知られていますが、第3の波が存在していることは、あまり知られていません。

第3の波:「サードウェーブ」それは、

30歳前後で地方での人生に見切りをつけ、東京に新たな人生を求めて上京する独身女性達の潮流。この波に乗り、30歳前後で地方から東京へ上京してきた独身女性達を『Suits WOMAN』では 「サードウェーブ女子」 と名付けました。地方在住アラサー独身女性はなぜ東京を目指したのか? その「動機」と「東京での今」に迫りたいと思います。

今回お話を伺ったサードウェーブ女子、上村尚子さん(仮名・34歳)は徳島県出身。黒髪のワンレンボブといった美人しかできない髪型を見事に自分のものにしており、カジュアルな服を着こなしながらも女性らしい雰囲気を感じます。きめ細かい白い肌にパッチリとした瞳を持つ、他の女性がうらやむほどの美人です。彼女は現在、2人の子育てのため専業主婦をしています。

――「東京」ってどんなところだと思っていましたか?

「みんなが常にテキパキと仕事をこなす、ビジネスマンやキャリアウーマンが多い街というイメージでした。テレビなどで入る情報しかなかったので、華やかなイメージしかなかったですね。生活感がないというか、みんながずっとオンの状態でいなければならない街だと思っていました」

尚子さんは、徳島県徳島市出身。徳島駅からクルマで5分ほどのところで生まれ育ちます。サラリーマンの父、専業主婦の母、6歳上と2歳上の兄との5人家族で、地元の高校を卒業後は幼稚園の教諭を目指して神戸の短大へ進学するため、すでに独立していた2歳上の兄と同居を始めます。

「2歳上の兄とはよくケンカしたんですが、6歳上の兄とはとっても仲良しでした。優しかった記憶しかありませんね。両親も女の子が欲しかったみたいで3人目に生まれた私に対しては甘かったです。幼稚園の先生を目指したきっかけは、母親が地域の児童館などのボランティアを時々していて、そのお手伝いとして自分より小さい子の面倒を見るのが楽しかったことですかね。高校から進路を決める時には、2歳上の兄がすでに神戸の専門学校へ進んで美容師として働いていたので、兄との同居を条件に私も神戸の短大の幼稚園の先生の資格が取れるところに進学しました」

お兄さんがいたから神戸を選んだと思いきや、徳島から神戸への進学は1人ではなかったといいます。

「中学からお付き合いしていた彼と一緒に神戸へ進学しましたね。彼と話し合って神戸に決めたんです。彼は小学校から一緒で中学からお付き合いを始めました。彼の見た目は強面で男らしいんですが、2人になると甘えたになるタイプで一緒に地元を出ようとは彼が言ってきたんです。絶対彼と離れたくないといった気持ちではなかったんですが、まぁなんとなく神戸に興味があった感じで。話し合って、四国だとやっぱり関西へ出ようとなるんですよね。親に相談したら、神戸なら兄との同居を条件に出されたので決めたといった感じです。短大では勉強や、仕送りがギリギリだったのでアルバイトもしていて、本当に忙しかったです。それと神戸も都会なので、色んなものがとにかく新鮮で楽しかったですね。2歳上の兄とは、急に妹との同居を親に言われて決まり、優雅な1人暮らしから引っ越しもさせられてと、不満でいっぱいだったみたいで、一緒に住んでいたけどお互い干渉せずだったので、逆にそれが快適でした。まぁ、半年ほどで仲は落ち着きましたけどね」

短大の卒業時には資格を取得し、そのまま神戸の幼稚園で勤め始めます。

「勤めてからは本当に忙しかったです。園児がいる時間は常にバタバタしていましたし、園児が帰ってからは次のお遊戯で使うものを画用紙に書いたり、折り紙で作ったり。次に歌う曲の伴奏を練習したり、母親に向けての子供の様子などを連絡帳に記載したりと……。就業時間内には終わらなかったものは、家に帰って黙々と作っていました。その期間は仕事との往復だけでしたね。それにお給料も少なかったので、兄との同居も解消できずで。兄も美容師でお給料が少なかったのでお互い仕方なくって感じでした」

仕事に追われる毎日で、地元から一緒に上京した彼氏とも別れてしまったとのこと。

「彼はその時はまだ大学生で、仕事が忙しいことを理解してもらえなかったので、別れました。別れを決めてから何回も話し合い、半年くらいかかってやっと別れてくれたという感じでしたね。でもその時にはいいなと思う人がすでにいたんですよ。学生時代のバイトの先輩でした。2歳上の大学生だったので、就職のタイミングが一緒で仕事に対する理解があり、彼と別れてすぐにお付き合いが始まりました」

暮らす環境は整っていた徳島での生活。18歳で神戸へと進学したはずだった尚子さんでしたが……。

その後、仕事に追われますが父親の病気が発覚し地元に戻ることになります。続きは【サードウェーブ女子〜アラサー女子上京物語〜】遠距離恋愛の果てに、親の後押しで上京した徳島女子〜その2〜に続きます。