中国と韓国の自由貿易協定(FTA)がこのほど発効となった。韓国では世界の巨大市場である中国とのFTAによって、韓国経済の成長率が押し上げられることになると期待が高まっているが、環太平洋経済連携協定(TPP)に未参加であることで損失も発生する恐れがあるという。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国と韓国の自由貿易協定(FTA)がこのほど発効となった。韓国では世界の巨大市場である中国とのFTAによって、韓国経済の成長率が押し上げられることになると期待が高まっているが、環太平洋経済連携協定(TPP)に未参加であることで損失も発生する恐れがあるという。

 韓国メディアの亜洲経済の中国語電子版は24日、韓国経済研究院の分析を引用し、韓国がもし今後もTPPに参加しなければ、TPP発効後10年間で部品・素材産業のTPP域内輸出に対する損失額が15兆5000億ウォン(約1兆5400億円)に達する恐れがあると伝えた。

 記事は、韓国の米国に対する付加価値輸出はTPP発効後10年間で113億ドル(約1兆3667億円)減少し、日本に対しては19億6000万ドル(約2370億円)の減少となる見込みだと伝え、損失規模は132億6000万ドル(約1兆6000億円)に達する見通しだと紹介した。

 続けて、全北大学の教授の見解として、韓国は2008年以降、繊維や化学、機械などの部品輸出において、世界のバリューチェーンに大きく依存してきたと伝える一方、TPPが発効されれば韓国企業は世界のバリューチェーンから排除され、部品や素材産業は直接的・間接的な打撃を受けることになると危機感を示した。

 韓国はこれまでさまざまな国と自由貿易協定(FTA)を締結する戦略を推進し、輸出を積極的に拡大してきた。だが、米国主導のTPPに未参加であることに対しては、中国との自由貿易協定(FTA)締結に注力し、TPP参加の機会を失ってしまったとし、「韓国政府の失政」であると批判する声もある。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)