ラッセル・ブラッドン著『ウィンブルドン』は、一九七九年に新潮社より邦訳が出て話題となり、文庫も出ていたのだけれど、長らく絶版となっていた。復刊を望む多くのファンの声が届いたのか担当編集者の熱意か、このたびめでたく東京創元社より復刊とあいなった。原著の発行は七七年なので四十年近く前の作品ということになるが、そんなことは問題にならない。“このような名作が品切れになっているという不幸”が解消されたことを