「小説」や「文学」に対する一般的なイメージとして多いのは「難しくて読みにくい」「よくわからない」といったものだろう。それだけに、「どうせ最後まで読めないから」と敬遠されてしまうことが起こり得る。しかし、「よくわからないが、抜群におもしろい」「読みにくいが、なぜか読めてしまう」類の小説は、確実に存在する。滝口悠生氏の小説はその代表格だろう。スピード感のあるストーリー展開で、読者を物語に引っ張り込んで