ドラマ「流星ワゴン」(TBS日曜よる9時)。妻・美代子(井川遙)の借金発覚し、
主人公・一雄(西島秀俊)は返済に奔走する。なんとか返済できたが、
夫婦の溝はどうも埋まらない

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「ありゃ、闇金のとりたて屋じゃ。
わしと同じにおいがしたけえの
ああいう若い男をあてがって調子ええこと言わせて
どんどんカネを貸す。そういう手口じゃ」
(忠さん/香川照之)

2月8日放送のTBS日曜劇場「流星ワゴン」第4話では、主人公・一雄(西島秀俊)は外出する妻・美代子(井川遙)を尾行。突然家出してしまった理由を探ろうとする。

土曜日の午後、いそいそと美代子が会いに行った相手は、これまでタイムスリップのたびに何度か目撃していた、あの若いイケメン。会うなり、美代子は男に金を渡す。一雄はショックを受ける。しかも、コツコツ貯めていた通帳もほぼ残高がなくなっていることを知り、呆然。しかし、忠さんに美代子の引きだしから見つけたという、借用書を見せられる。一雄が目撃した、金の受け渡しは貢いでいたわけではなく、借金の返済だったというのが忠さんの見立てだった。

美代子の行動の理由がわからず、頭を抱える一雄。忠さんは一雄を無理矢理パチンコ屋に連れて行く。
そこには陶然とした表情でパチンコに夢中になる美代子がいた。
「カネはこれにつぎこんだんじゃ。足りない分を闇金から借りよる。あれはもう中毒じゃ」と、忠さん。一雄は「どうして……どうしてだ」と悶々とし、勢い余って「美代子ー!!!」と叫ぶ。

いよいよ夫婦のガチンコバトル勃発!
……と思いきや、話は思わぬ方向に展開する。

「あいつが他の男と不倫してたわけじゃないことがわかった。それで十分だ」
「俺はそれに気づいてやれなかった。だから、まずは何としても借金を返す。絶対に美代子を救ってみせる」
張り切る一雄。間違ったことは言っていない。でも、同時にどうしようもなくズレてもいる。これまでも思い込みの強さは言葉の端々に出ていた一雄だが、ここにきて、さらにヒートアップ。妻をいらだたせ、追い詰めそうな“いい人ぶり”を次々と発揮していく。

過労による貧血で倒れ、緊急入院した息子・広樹。
付き添いから帰宅した美代子は、病院にもっていく着替えの用意をする。
しかしテーブルの上には、着替えやパジャマ、参考書が入ったボストンバッグが置いてある。
そして、「付き添いお疲れさま。広樹の着替えや必要なもの、まとめておきました」という一雄からの置き手紙。パチンコのことには触れられていない。それどころか「ローソンのティラミス買っていったら、喜ぶんじゃないか。その分のお金を置いておきます」と、万札が封筒に入って置かれている。
これはきつい。

仮に美代子が本当にギャンブル中毒なのだとしたら、わざわざ軍資金を渡してどうする、だし、ギャンブル中毒じゃなくても、腹立たしい。お前のいい人アピールにはうんざりだ! と、今すぐ使い切りたくなっても不思議はない。

きわめつけは、このセリフだ。「何も聞かないのね」と美代子に問われ、一雄はこう答える。
「とにかく今は美代子のことが第一だから。ギャンブルにハマったのもたまたまなんだろう? そりゃそうだよな。専業主婦で退屈してたら、ついそうなっちゃうことだってあるよな。僕がもっとちゃんと向き合ってやっていればよかったんだ。ごめんな……」

一見やさしげなセリフだが、美代子の本音に耳を傾ける気がまるでない。ギャンブルにハマるほど悩んでいたという可能性をいとも簡単に叩きつぶし、挙げ句「専業主婦で退屈してたら、ついそうなっちゃう」と軽んじる。「美しき罠〜残花繚乱」(TBS木曜9時)の美津子さんがその場にいたら、「ずいぶんな言い方ね!」(第4話)と即座にブチ切れられるところだろう。

「本当の苦しみを知って向き合うことができたんだ。何度でも何度でも借金を返して、美代子を救ってみせる」と意気揚々とワゴンに戻ってきた一雄。
しかし、忠さんは疑問を投げかける。
「お前が借金返そうが、ギャンブルを許そうがなんか違うけえの。お前が思っとるより、ずーっとあの女は病んでるで」

傍若無人なはずの忠さんが意外と周囲をよく見ていて、気遣いを大事にするはずの一雄が案外、他人の気持ちに頓着しない。親子の似ている部分と違う部分が交錯しながら、今夜第5話!
(島影真奈美)

*最新話放送の1分前まで、TBSオンデマンドで前話を無料配信中(第4話は2月15日(日)20時59分まで)