吉本の芸人たちが人狼でガチ勝負する「ガチ人狼」が11月30日に神保町花月で行われた。日頃磨いているしゃべりの技術が人狼でどのように光るのか?

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11月30日に神保町花月で開催された「ガチ人狼」。吉本の芸人たちが「ガチ」で人狼に挑むものだ。
出演者は14人。
ニブンノゴ!森本、佐久間一行、犬の心いけや、LLR福田、ライス関町、エリートヤンキー橘、ゆったり感中村、相席スタート山添、ランパンプス寺内、ラフレクラン西村、三橋潔、若尾桂子、伊藤真奈美、そして天の声としてしゃけとりくまごろう。

人狼のルールを簡単に説明する(詳しくはエキレビ!杉村啓の記事を参照のこと)。

●村に紛れ込んだ「人狼」をすべて追放することができたら村人チームの勝利。人狼の人数と村人チームの人数が同数になったら人狼チームの勝利
●昼のターンは村人全員で話し合い、人狼だと思われる人と1人追放する
●夜のターンは人狼が1人を捕食する
●村人の中には、能力を持った人物がいる(役職)。夜のターンで誰か1人を人狼か占える「占い師」、昼に追放された人が人狼だったかわかる「霊媒師」、人狼から誰か1人を守ることができる「狩人」、人間なのにもかかわらず人狼に加担する「裏切り者」

村人側は誠実に行動し人狼を探し、人狼側は嘘をついて村人を騙すこのゲーム。コント要素はなしの「ガチ」な戦いが始まった。

1回戦・1日目昼 村長佐久間爆誕、人柱山添



9人(人狼2、占い師1、霊媒師1、狩人1、裏切り者1) 初日に占い師は人狼ではない人を1人だけわかる
参加…ニブンノゴ!森本、佐久間一行、LLR福田、エリートヤンキー橘、ゆったり感中村、相席スタート山添、ランパンプス寺内、ラフレクラン西村、三橋潔

初日の指針を得るために、能力者が名乗り出る方針に。議論が過熱する中、一言もしゃべっていないのが佐久間だ。
森本「さっくん、これでいいかな?」
佐久間「OK!」
「村長」「村長だ……」「村長って役職だ…」
口々に言い交わされ、なぜか佐久間の「村長」ポジションが爆誕。
森本「さっくんがそこまでいうんだったら、能力者に名乗り出てもらおう」
佐久間「えっ、うん!(←OKのあとは何も言ってない)」
穏やかな村長っぷり。
橘「今日までの村、そうとう平和でしたよ」
福田「本当は人狼の2匹とも仲良くしていきたいよ?」

占い師が一斉に名乗り出る。手を挙げたのは2人。中村と寺内だ。
中村→福田○(人狼ではない) 寺内→西村○
占い師は1人しかいないので、どちらかが嘘をついている。この段階ではまだわからない。
では、今日の昼は誰を追放すればいいのか? ランダムだとまだ名乗り出ていない狩人や霊媒師を追放してしまう可能性がある。なので、人柱としてただの村人に名乗り出てもらうことに。
立ち上がったのが山添。
山添「村のために……この身を捧げます!」
森本「まあ、村人っぽいよね」
福田「捧げたくなる顔だよね。映画だと真っ先に死ぬ顔」
山添「死にたくなくなってきた……」
寺内「死んでくれるって言ったじゃないですか!?」
西村「自害していただきたい」
佐久間「村長として……今回は、山添さんに死んでもらいます」
ほぼ満場一致で、山添の追放が決定(村人の投票で決まる)。
山添「いい一生だったと思います」

2日目・昼 佐久間は狩人? それとも人狼?



生存者…ニブンノゴ!森本、佐久間一行、エリートヤンキー橘、ゆったり感中村、ランパンプス寺内、ラフレクラン西村、三橋潔

幕が上がって、福田の姿がない。人狼に食べられてしまったのだ。

中村→西村○ 寺内→福田○
2人の占い師から「人間」と言われた西村は、ほぼ人間が確定。ここで、霊媒師にも名乗り出てもらうことに。
手を挙げたのは三橋だけだ。食べられてしまった福田が霊媒師の可能性もあるが、今のところは三橋が本物の可能性が高い。三橋によると、山添は人間だったとのこと。
占い師候補の中村と寺内、霊媒師候補の三橋、村人ほぼ確定の西村を除いた3人──つまり、森本、佐久間、橘の中に、人狼が2匹隠れている可能性が高い。
このままだと追放されてしまう……そんな焦りが佐久間を動かす。
佐久間「このままいくと、俺たち3人の中の誰かが追放されちゃうってこと!? 俺、狩人! だから殺さないで〜!」
ざわっとする。基本的に、狩人が名乗り出るのはあまり推奨されていない。
森本「ここで狩人が名乗り出るのは、村にメリットがない。それをするってことは……村長、人狼だな?」
疑い始める村のみんな。
佐久間「俺を殺したら一生損をするぞ〜!? 本っ当〜に狩人!」

三橋が「対抗の狩人がいないのが気になる。本当の狩人なのでは……?」と投票時に呟くものの、票は佐久間に集中。決死の訴えは届かず、追放が決まった。
佐久間「村長として、村のことじゃなく、自分のことしか考えてませんでしたー!」

3日目・昼 勝負のゆくえは……



生存者…ニブンノゴ!森本、エリートヤンキー橘、ゆったり感中村、ランパンプス寺内、ラフレクラン西村

中村→橘○ 寺内→森本●(人狼)

寺内「見つけました! 森本さん、人狼です!」
森本「うんうん、わかった。お前が本物の占い師なんだろ? そして俺が人狼。信じるよ」
寺内「えっ……?」
森本、そして橘が立ち上がる。中村が「あっ、そういうことか」と呟き、立ち上がった。
おおー、パワープレイ!
人狼側が数の力で押し切るパターンだ。人狼は森本と橘。裏切り者が中村で、人狼サイドは3人。村人サイドは占い師の寺内と村人の西村の2人。3:2で、多数決ではどう転んでも人狼側が勝つ。
森本「昨日さっくんを追放した時点で、俺たちの勝ちは決まった」
唸る西村。相方の名前を叫ぶ寺内。
橘「ああ、ただの村人は黙ってて!」
村人を端に追いやり、人狼サイドの3人が中央にどっかりと座る。
森本「俺たちの村だ! ガッハッハ〜」
悪い笑みとともに、本物の占い師・寺内の追放が決まる。こうして村人は全滅、人狼が完全勝利した………。

「ガチ人狼」は、あと2戦行われた。ダイジェストでお伝えする。

2回戦の参加者は、ニブンノゴ!森本、佐久間一行、犬の心いけや、LLR福田、ライス関町、エリートヤンキー橘、相席スタート山添、ランパンプス寺内、三橋潔、若尾桂子、伊藤真奈美の11人。初日占いあり、占い師、霊媒師、狩人、人狼2、裏切り者2が入っている。占い師が4人名乗り出て、関町が大いにテンパる。
関町「僕は何をすればいいですか?」
寺内「眼鏡を磨いていてください」
人狼佐久間が嘘がつけなさすぎて、村人のストレート勝ち。

3回戦は、ニブンノゴ!森本、LLR福田、エリートヤンキー橘、相席スタート山添、三橋潔、若尾桂子、伊藤真奈美の7人。占い師、狩人、人狼1、裏切り者1というかなりシビアな戦い。
ギリギリのところまで粘るものの、人狼福田が処刑された。ちなみに客席で人狼&裏切り者予想クイズが行われたが、16人が見事に正解! その中で5人にサイン色紙がプレゼントされた。

本当にガチだった「ガチ人狼」。本日3連勝で「ベストガチプレイヤー」(MVP)に選ばれた森本は「今はまだレベル差がある。だけど、みんなでもっとうまくなれば、もっともっと見ごたえのあるバトルになりますよ」。「成長した!」と名前が挙がったのは、寺内、山添、西村ら。

アドバイザーをしている「株式会社人狼」の高橋一成にも、今日の公演の感想を聞いてみた。
「今はまだ、議論の誘導に乗りやすい。ただ、回数をこなしていけば、ロジカルに数字を出すバトルになっていくでしょう。今後のポイントは、消去法と前提を意識して考えること。『この人が狩人だったら、この人が人狼になって……』と考えていくのが大事。この考え方ができていれば、1回戦のパワープレイは防げました。吊り手計算は難しいですけど、少しずつできていければいいですね」
高橋は、「ガチ人狼」の稽古にもアドバイザーとして参加している。稽古の成果はどう見えたのだろうか。
「稽古をした成果があって、どのゲームでも裏切り者や人狼に動きがありました。今はまだ森本さんの議論誘導が他の人よりも長けているけれど、今後もっともっとレベルが上がれば会話型の推理バトルになると思います!」

人狼×舞台は最近盛り上がりを見せている。
12月2日 「ガチ人狼番外編〜お客様参加型 講習会〜」神保町花月
12月3日〜8日 「人狼TLPT#15」シアターKASSAI
12月10日〜15日 「人狼TLPT#16」シアターKASSAI
12月17日 「ガチ人狼」幕張イオンモール劇場
12月23日 「疑心暗鬼大喜利〜滑狼(スベロウ)〜第10回記念3時間半スペシャル」ルミネtheよしもと
1月1日 「ガチ人狼〜元旦SP〜」神保町花月

(青柳美帆子)