『賭ケグルイ1』原作:河村ほむら/作画:尚村透/月刊ガンガンJOKER
“リスクは、快感。賭すのは、プライド。美少女たちの学園賭博譚。”

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「『投票ジャンケン』っていうギャンブルはどう?」
『賭ケグルイ』(原作:河村ほむら/作画:尚村透)の1巻が出た。
舞台は百花王学園。
学園には階級制度が存在する。
そして、階級は「ギャンブル」で決定するのだ。
語り手は、「家畜」階級だった鈴井くん。
主役は、転入生の蛇喰夢子(じゃばみゆめこ)。ロングヘアの清楚なお嬢様。
と思いきや……。
「ギャンブルは狂るっているほど面白い。さァ 賭け狂るいましょう!」
と高らかに叫ぶギャンブルマニア。
そんな彼女の前に次々と現れる美少女ギャンブラーたち。
男女共学なのに何故か全員美少女たちばかり。
しかも、かならずオリジナルゲームのイカサマ野郎(野郎じゃなかった女郎)。
第1話の対戦相手はツインテール・クイーン早乙女芽亜里(さおとめめあり)。
ものすごく顔近づけて「ポチ、チップ持ってきて」(い、言われたい……)。
蛇喰夢子VS早乙女芽亜里、ゲームは「投票ジャンケン」。
ルールは以下の通り。
・教室のみんな30人がグー・チョキー・パーのどれかをカードに書く。
・カードを投票箱に入れる。
・対戦する2人は、それぞれ3枚ずつカードを引く。
・その中から1枚選んでジャンケンする。
・あいこなら残り2枚から選んでもう1回。
・3回ともあいこならひきわけ。
限定ジャンケン2.0か!? 奇妙なルールだ。
だが、もちろんこれは早乙女芽亜里の策略込み。
イカサマが炸裂する。
教室のみんな30人のうち21人は、クィーン早乙女芽亜里様の奴隷だ。
つまり彼女は、投票するカードを操作できる。

第2話は「ダブル神経衰弱」。
二組のトランプデッキを使い、数字とマークが同じカードを見つけるハードな神経衰弱。
生爪を賭けた死闘が繰り広げられる。

第3話・第4話は「生か死か」。
壺、剣の駒、一〜三十の穴がある盤を使う。
ルーレットのように出目を予想するゲームだが、
盤に剣が複数刺さったり、剣の上向き下向きでプラスマイナスが変わったりする。
盤のデザインがかっこいい(ほしい)。

このマンガの見どころは、
・オリジナルゲームの独創性
・巧妙なイカサマ
・蛇喰夢子がイカサマを見抜いて逆に仕掛けていく
というスピーディーな展開だろう。

1巻は4話収録。
3つのオリジナルゲームが登場し、イカサマが仕掛けられ、それを洞察力で見抜く。
もうひとつ見どころがある。
最大の見どころ。
それは、
ギャンブルに熱狂して、賭け狂いだす美少女のクレイジーアクション。
清楚だった美少女が、ギャンブルが盛り上がってくると、白目むいて、瞳が多重同心円になり(どんな目だ!)、ロングヘアが舞い、汗が流れ、
ゾク ゾク…ッ!
「滾(たぎ)ってしまいます…」。
掛け金のインフレ率も過剰で、1巻のラストですでに億。
第1話では「もしかして怖気づいちゃったァ? ま 100万も負ければ無理ないかー♪」ってセリフを交わしていたのだが、
第4話では「21億7000万円!」。
巨大なの文字「21億7000万円!」に、歯を食いしばり泣き出しそうな顔の追い詰められた和服美少女。
そこに、顔を突き出し「賭け狂いましょう!」と狂笑の蛇喰夢子が覆いかぶさる。
恐怖、推理、興奮、洞察、垂泣、驚愕、悦楽。
ギャンブルの中で、美少女がくるくると表情を変える。
やべぇ。

美少女たちの学園賭博譚『賭ケグルイ』(原作:河村ほむら/作画:尚村透)オススメです。(米光一成)