ヤンキース・黒田博樹【写真:田口有史】

FA選手の去就報道が過熱する米国

 今オフ、フリーエージェント(FA)となった選手の報道が米国で加熱している。米3大ネットワーク、CBSスポーツの電子版やMLB公式サイトなどが有力FA選手を紹介。ランキング形式で特集されている記事の中では日本人選手の名前も複数登場している。

 そんな中、米移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」が毎年恒例のFA選手の去就を分析。読者からも予想を募りつつ、トップ50の選手を挙げて現状と来季の動向を予測している。

 日本人で最初に出てくるのは12番目に登場する広島の前田健太投手だ。

 前田に関してはポスティング・システムを利用してメジャー挑戦に踏み切るか否かはいまだ不透明な状況だが、記事では契約先の有力球団として「アストロズ」を挙げ、「(来季)27歳の前田は日本からの次なる大物だ。右投げの先発投手は11月に広島カープからポスティング・システムを使用されると期待されている。ポスティング料の上限、2000万ドルに複数のチームが達し、それらの球団で公開入札が行われるだろう。昨年、田中の獲得に失敗したチームであるアストロズは、3大先発にコストをかけるより、前田を彼らのローテーションに引き入れうるだろう」と分析。

 また、「アービン・サンタナの項で挙げられたチームのほとんどがここでも可能性を持っている」とし、レッドソックス、ヤンキース、ツインズ、マリナーズ、レンジャーズ、カブス、パイレーツ、ダイヤモンドバックス、ロッキーズ、ジャイアンツなども獲得に動く可能性を指摘している。

「引退」予測も依然として評価が高い黒田「常に卓越したコントロールを持っている」

 続いて登場するのは今季限りでヤンキースとの契約が満了となった黒田博樹投手で、27番目に挙げられている。

 今季黒田は開幕から唯一ヤンキースの先発ローテーションを守り続け、日本人投手として初となるメジャー5年連続2桁勝利を達成。11勝9敗、防御率3・71という成績を残した。

 シーズン終了時に自身の去就について明言を避けたベテラン右腕について同サイトの予想は「引退」となっているが、寸評では依然として高く評価されている様子がうかがえる。

「2月に40歳となる黒田は過去5年間にわたり約200イニングを投げ、防御率は4.00未満だった。彼は常に卓越したコントロールを持っており、今季ヤンキースでは与四球率を1.6に下げた。現在、黒田が2015年にも投げるかどうかは定かではない。もし彼が投げるなら、ヤンキースがまたクオリファイング・オファーを出すかどうかによって彼の去就は左右されるだろう。彼の最初のメジャー球団であるドジャースへの復帰は、特に彼の家族が今もそのエリアに住んでいる事から、一考に値する。その点では、エンゼルスも候補から外れてはいない」と分析している。

有力な移籍先として「レッズ」と分析されている青木

 この特集に取り上げられている日本人選手の最後の1人は今季ロイヤルズの29年ぶりワールドシリーズ進出に貢献した青木宣親外野手だ。40番目の登場となっている。

 青木は今季終盤には3連戦で11安打と球団新記録を打ち立てるなど、若いチームを牽引。主に上位打線の1、2番を打ち、打率2割8分5厘、43打点、1本塁打、出塁率3割4分9厘という成績を残した。

 移籍先として予想されているのは「レッズ」。寸評では「3年前、ブルワーズは日本プロ野球で3回首位打者となった青木との交渉権を勝ち得た。去年の12月、彼はロイヤルズにトレードされた。1月に33歳となる青木はメジャー通算で.353の出塁率を誇っている。左打者の青木は過去2年間、右打者より多く左投手から打ってきた。彼はライトでの回りくどい守備で知られるが、その守備の数字は許容範囲だ。青木は複数年契約を結ぶと思われ、レッズやホワイトソックス、ツインズ、メッツ、ジャイアンツにフィットするだろう。ロイヤルズも彼との契約延長に関心があると考えられている」と分析している。

 特集では、トップに登場するマックス・シャーザー投手に関してはヤンキース、2番目のジョン・レスター投手はカブス、3番目のジェームズ・シールズ投手はレッドソックスを有力な移籍先として予想。また、ポスティング・システムを利用するかどうかは不透明とした上で「現時点で選外の注目選手」として金子千尋投手の名前も挙げている。