サッカー日本代表のハビエル・アギーレ監督

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ワールドカップ惨敗にも拘わらず、会場には278人の報道陣が詰めかけた。まだ日本代表への熱は衰えていないようだ。そんな期待を背負ったハビエル・アギーレ監督の就任会見が8月11日、都内で開催された。

登壇したアギーレ監督は紹介されると椅子から立ち上がって一礼。日本式の挨拶を学んでいることを最初に見せた。だが、その後は口を一文字に結びじっくりと会場を見渡し続けた。

原博実専務理事兼強化委員長が4年以上待ち続けたアギーレ監督の第一声は「今回、代表監督に声をかけてもらったことをうれしく思いますし、名誉だと思います。南アフリカのワールドカップが終わったときに声をかけてもらいました。ですが、そのときは個人的なことで日本に来ることができませんでした。今回、ワールドカップが終わったときに再度アプローチがあり、今日ここにいます」

だが、そんな話をしながらアギーレ監督はニコリともしない。会場から質問が飛んでも表情を変えずに淡々と答え続けた。

アギーレ監督にとって幸いだったのは、通訳がまともだったこと。ザッケローニ監督就任の際には日本語が不確かな通訳だったため意図は伝わらなかった。

だがアギーレ監督の言葉はハッキリと伝えられた。それは通訳の良さとともに、監督の答えそのものが明確だったからだろう。

今後の代表選手の選考基準は、「将来性のある選手を選びたい。意欲的な選手、国を背負う意欲にある選手、チームとしてプレーできる選手、試合に貢献できる選手を選びたい」

「日本と世界のトップの4、5カ国との違いはタイトルを獲ったかどうか。オランダもいい国だがタイトルを獲ったことがない。それと同じだと思っている」

「私は過去についてコメントするのは好きではない。私が作りたいのは切磋琢磨するチーム。そしてどんな相手でも全力で戦う、競い合うチームを作りたい」

「日本はメキシコと似ている。ボール扱い、試合の運び方、守備など。そして自分は守備を固めて勝利を目指したい。そしてボールを大事にして、選手たちの間で競争力を上げていってもらいたい」

「自分が選手を実際に見るということを重視したい。すべての選手に門戸は開いている。とにかく見て、その選手の技量を分析したい。試合中だけではなく、試合以外の時間帯でどのような行動をするのか、すべて見ていきたい。選手選考のプロセスには時間がかかる。次の試合に選んでもずっとその選手を選ぶということではない」

「守ることも攻めることもできる、バランスの取れた選手を求めている。攻守両方ができる選手を求めているが、特にボールを奪うことができる選手が重要だ。守るというのは守備陣だけでない。相手から奪い、その試合に貢献するということを求める。全員が守れて攻められる、そういう選手を求めている」

「システムは試合の展開によって変化していくと思っている。DFは3人、4人、5人になるだろうし、4-3-3、5-2-3もある。基本は4-3-3だがフレキシブルに考えていきたい」

「ロシアワールドカップに進むポテンシャルは持っている。過去にも本大会に行っているし、ロンドンで見た五輪代表もよかった。日本にはいい選手が揃っている」

「哲学は、たくさん走る、いいプレーをする、勝利を収める。国を背負って戦っているというのを肝に銘じていてほしい。各人が自分の責務を果たすのが大事」

目標は「ロシアワールドカップに出場すること」。そしてそれは「自分のキャリアにとって大きなチャレンジ」だという。会見の途中で「日本はオランダと同じ」だと持ち上げたが、実はこれからの日本の道のりは険しいと思っているのではないか。

スペイン語には笑顔を見せるものの、ほぼ表情は変わらない。元々そういう人物なのかもしれないし、これからの任務の重さが表情を固めていたのかもしれない。

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