ついに肉体美あふれるあいつが帰ってきた!『HENTAIKAMEN EX』はかつてのクレイジーなアクションをそのまま読める新作。こんなにオシャレな表紙なのに、めくるとあいつがいる。いい。

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帰ってきた! あいつが!帰って!きた!
あんど慶周作、ぱんつを顔にかぶって溢れる肉体美で正義を守る、あいつだ。

創刊されたばかりの隔月本『画楽.mag(ガラク・ドット・マグ)』で『HENTAI KAMEN EX』の連載が開始されました。
実写映画の記憶も新しいこの作品、実にジャンプでの連載から21年が経っています。
世紀を超えてしまいましたね。

主人公の色丞狂介は16歳の拳法部員。
マネージャーの姫野愛子と友達以上恋人未満の関係で、仲良くやっています。
彼の変身や詳しい能力はこちらの紹介をどうぞ。
マンガでは「知ってるでしょ?」と言わんばかりに説明はざっくりカット。うん、知ってる。知らなくても見た目でわかる。
あたかも今まで連載されていたかのような錯覚に陥ります。
今回は狂介が、偽物と戦うところからスタートです。

ってあれ?
確か狂介って大人になって、中国人少女の押しかけ女房・四季春夏と結婚したんじゃなかったっけ?
春夏出ている気配が全くなくて、愛子ちゃんとラブラブなんだが。
これが「パラレル」なのか「描かれていなかったエピソード」なのかは現時点でははっきりしていません。

この作品、全く変わってないのがいい。
彼の肉体美は当然健在です。おいなりさんはちょっとグレードアップしました。ご安心ください。
おなじみ、びっくりしたときの目玉が飛び出る表現は、ちゃんと再現されています。
最近見なくなったので、なんだか嬉しいなあ。
時代は連載当時(92年)ではなく、現在。
某動画サイトっぽいものやネットニュース、スマートフォンも登場します。古臭さはなく、かつ当時のテンションのまま楽しめます。
ぱんつを顔にかぶって真似している人たちの写真が検索で引っかかるシーンが出てくるあたり、とても今っぽい。

楽しみにしていた、新技はばっちり登場。
その名も「地獄の拷問振り子ギロチン!!!」
どんな技かは見てのお楽しみ。
決め台詞はもちろん成敗!

当時はクレイジーだなーと思っていました。実際クレイジーです。
でも20年経つと、懐かしいものを今見られる嬉しさの方が強い。
さすがにもうあのスタイルは見慣れたので、歌舞伎の見得を切るみたいに「よっ、待ってました」感があります。
重い空気は一切ありません。オムニバスではなく連続ストーリーになりそうな雰囲気。
読んで是非「成敗!」ごっこしましょう。

ところで。連載している『画楽.mag』という本、何かがおかしい。
画楽ノ杜 : コミック新大陸へ!
!

集英社が出している雑誌で、表紙は村田蓮爾のレトロ近未来。
で、開くと『HENTAIKAMEN EX』以外には中平正彦、小川雅史といった、ゲーメスト時代を彩った作家陣が。
……分かる人だけでいい、分かってくれい、このすごさ。

極めつけは、諸星大二郎の『暗黒神話』の完全版が連載されている。
週刊少年ジャンプ、1976年連載の漫画で、神話・宗教・SFなどの要素を混ぜ込んだマンガです。
なんだこれ、どういう本なんだ。どの層狙いなんだ。

大抵の場合、あとがき欄は、作者本人が書くものです。
ところがこの本は、編集さんがその作家や作品をどう感じたかを書いている。
一体どうなっているんだ。

「雑誌をやっていた頃と違い、読者層とかカテゴリーをあまり意識していません」
「表現をされる方は有名無名老若男女を問わず、不思議な感性をお持ちの方が多いです。お会いしてお話するうちに、この人は面白い、(私のために)何か描いてもらえないか。早く読みたい。そんな気持ちでいつも原稿をお願いしています」
(画楽.mag VOICE of GARAKUより)

雑誌じゃない、「雑誌型大判コミックス」だそうです。
『画楽.mag』のキャッチコピーは「No border in MANGA」。
絶対に並ばないだろうと思った『暗黒神話』と『HENTAIKAMEN』が並んじゃうあたり、確かにノーボーダー。
狙い所がわからない。あえてそう感じさせる、自由な雰囲気の本です。
新しいタイプの雑誌……じゃない、なんだろう……コミックスになっていきそうです。

『画楽.mag(ガラク・ドット・マグ)』2号

(たまごまご)