ドラマ「アリスの棘」で陽気な養父を演じる中村梅雀は歌舞伎役者の家系出身ながら、ドラマや映画にも積極的に出演。善良な役から悪役まで幅広く演じるバイプレーヤーとして定評がある。写真は「鬼平外伝 夜兎の角右衛門」(SHOCHIKU Co.,Ltd.)

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最終話すべての謎が明かされる
父を殺したのは誰だ--?
そして手術の記録を送ったのは--?

4月から追いかけてきたTBS「アリスの棘」もいよいよ最終回。6月6日放送の第九話では、主人公・水野明日美(上野樹里)が有馬教授(國村隼)の陰謀に迫る。腎臓移植を必要とする有馬の娘・鈴(藤原玲子)と、心臓病で長期入院している少年・峰岸健太(竹場龍生)の腎臓のデータが一致。明日美は有馬が健太の腎臓を狙っていると確信し、その手術を阻止しようとする。

また、鈴本人によると、15年前にも移植手術を受けたことがあるという。その腎臓が妹のものだと知らされた西門優介(オダギリジョー)は、シンガポールに向かう有馬一家を追い、カッターナイフを振りかざす。さあ、話がややこしくなってきた!

現時点で結局、誰が明日美に手術記録を送ってきたのかは明らかにされていない。
でも、第九話の最後に流れた予告CMによると“最終話すべての謎が明かされる”とある。
しかも、黒幕がもう一人いるらしい。誰だよ!

予告CM第二弾の中盤では、明日美の養父・水野和史(中村梅雀)が、なにやら液体をバサーっとかぶせられてるシーンが登場する。その直後に映されるのは炎に包まれた室内の様子。明日美は「いい人のフリをしてずっと騙してたのね……!」とぶちキレていた。

一癖も二癖もあるメンバーが勢揃いした「アリスの棘」の登場人物たち。その中で「僕のアミーゴの娘よ!」といつもニコニコ。こういうタイプがじつは……だったら、面白いのに!” とは思ってたけど、まさかの水野のおっちゃん黒幕疑惑が急浮上。

ただ、黒幕フラグが立ちすぎている気もする。なんだかんだ助かるだろうと思っていた悠真先生(中村蒼)を殺された身としては、疑心暗鬼に陥らざるを得ない。これまでまったく出てこなかった人が黒幕として登場するんじゃないでしょうね……と疑いを捨てきれないまま、最終回を予想してみたい。

■仮説その1:有馬教授が臓器移植のサポートを依頼した相手は、水野のおっちゃん

第九話では、有馬教授が誰かに電話をかけ、健太の腎臓を奪うダンドリを事細かに指示していた。
“それにしてもずいぶん早まったことをしましたね。彼を処理してしまうとは” というコメントとともに映し出されたのは、磐台教授の変死を報じる新聞記事。どうやら、電話の相手は磐台教授も手にかけているらしい。有馬教授は「腎臓摘出とシンガポールに出発するための臓器管理を頼みたい」と語り、「あなたに断る権利はない」とたたみかける。水野のおっちゃんが元医者で何かしらの弱みを握られているとしたら、こんな依頼がやってきても不思議はない。

■仮説その2:手術記録の送り主も、水野のおっちゃん

改ざん前の手術記録を入手できるとしたら、病院関係者に限られる。最有力候補だったベテラン看護師・三浦直子(山本未来)があっさり姿を消した今、浮上するのはやはり、水野のおっちゃん。わざわざ手術記録を送ってくるということは、明日美の父親の死に関わっていない……? もしくは、殺人には荷担したけれど、単なる医療事故に見せかけるべく手術記録を送ったという線も捨てがたい。一番大きなウソをひとつだけ、あとは全部ホントのことをいうと案外バレないものである。

■仮説その3:じつは水野のおっちゃんは養父ではなく、実父である

水野のおっちゃんは、明日美の父親と親友だったという設定。でも、スペインバルの親父と大学病院の医師がどう親しくなったのかは描かれない。「天国のとうちゃんも喜んでるだろうな。娘が自分と同じ医者になってくれてさ」(第二話)というセリフも少々不自然。ここでいう、“天国のとうちゃん”が水野のおっちゃん自身を指しているとしたらどうだろう。水野のおっちゃんはかつて医者として大学病院で働いていた。ある事件が起きて、娘の明日美を手放さざるを得なくなる。その明日美を引き取ってそだててくれたの同僚の小山内孝夫だったのだ!(たぶん)

■仮説その4:水野のおっちゃんのせいで、有馬は娘を亡くしている

仮説3の「何かの事件」って何だよ! の謎を解くヒントは、第九話での有馬と妻のやりとりにあった。シンガポールで手術をすると有馬教授に告げられた妻は「これ以上美並のからだによけいな負担をかけたくないのよ!」と大反対。有馬が「鈴の体のことなら心配はいらない」と言い含めるように伝えると、「すいません、私……」と妻は口ごもった。この美並こそが、水野のおっちゃんの弱みの正体であり、第五話での有馬教授の告白「妻は心を病んでいる」の原因。おっちゃんは、何らかの事故で、有馬教授の長女・美並(鈴は次女)を死なせてしまう。結果、明日美を手放さざるを得なくなるとともに、有馬の共犯にならざるを得なくなってしまったのだ!(きっと)。

■仮説その5:水野のおっちゃんは服役していた

水野のおっちゃんが元医師で、明日美の実父だったとして、なぜ、明日美を手放さなくてはいけなかったのか。ここで浮上してくるのが、おっちゃんが交通事故を起こし、交通刑務所に服役していた説である。明日美のじつの母親は明日美が生まれてすぐに亡くなっている。男手ひとつで赤ん坊を育てていたが、医師としての激務も重なり、いねむり運転で死亡事故を起こす。そのときの被害者が有馬医師の娘・美並だった。おっちゃんを演じる中村梅雀がインタビューの中で語っている “水野は明日美に対してある隠し事がありまして” の正体である。じゃーん!

ただ、そうなると、小山内医師が亡くなる頃にはすでに大学病院にはいないので直接、手術記録を入手するわけにはいかなくなるのか……あれ!?

しかも結局、“もうひとりの黒幕”が誰なのかという謎が残ったまま。水野のおっちゃんは隠し事もあるし、明日美にも疑われて、ガチで詰め寄られるけど、黒幕じゃなかったに一票。黒幕は……有馬の妻! 娘を亡くして狂ってる設定。有馬は娘を助けたいと見せかけて、じつは妻を助けたかったという夫婦愛も加わったところで、水野のおっちゃんが吐血。「バチがあたったのかな」なんて言って気を失うおっちゃんを救うべく、明日美はオペ室で向かう……でフィナーレ! これだ!!

毎回、斜め上の展開に驚かされてきた「アリスの棘」もいよいよ、最終回。早く答え合わせがしたい! じれじれしながら、今夜の放送を待ちたいと思います。押忍!
(島影真奈美)

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