職場で嫌いな人とうまくやっていくために

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 仕事も勉強も、始める時は誰でもやる気に満ちあふれているものですが、目標を達成するまで続けられる人は多くありません。
 私たちは、さまざまな理由で、物事を始めた当初は持っていたはずの「やる気」や「情熱」を失ってしまうのです。
 『成功は99%が情熱!―――どんな人でもやる気になれる36のアクション』(水野元気/著、ダイヤモンド社/刊)は、このように、人が情熱を失ってしまう理由を6つに分類し、その対処法を教えてくれる1冊。
 今回は著者の水野元気さんに、「情熱」と「やる気」を長続きさせる秘訣を聞いてみました。その後編をお送りします。

―目の前のことに情熱を持てるかどうかというのは、置かれた環境によっても左右されます。たとえば上司だとか対人関係が原因となってやる気が出なかったり、情熱を持てないという時はどうすればいいのでしょうか。

水野「そこも情熱が消える大きなポイントですよね。うまくいかない、思い通りにならないことで情熱を失ってしまうことは仕事でも起こりうると思うのですが、その大きな要因は人間関係だと思います。
学生時代なら、気の合う仲間と一緒にいればよかったのが、社会人になるとそうはいきません。嫌な上司の下につくこともあれば、嫌いなお客さんと当たることもあります。だからこそ苦しいわけですが、“この人とは無理”“あの人は考え方が古い”と切り捨てても状況が変わるわけではありません。
知っておくべきことは、人間関係の多くは思い通りにはいかないということです。お互い価値観も考え方も違うわけですから、上手くいかないことが前提だということは理解しておいたほうがいいと思います。
それと、自分にとってどちらがメリットなのかということも大事です。確かに目先のことだけ考えると、上司が悪い、人が悪いと言っていた方が楽です。ただ、それを2年後、3年後もやっていると考えると、その人にとってどっちがいいんだろうということですよね。
不平不満を言いながら周囲との関係が悪いまま働くのか、自分ができることを変えていきながら少しずつ人間関係をいい方向に持っていくのか。
別に相手を好きになる必要はないんですよ。ただ、ある特定の人がいるからやる気が出ないというのは、嫌いな人によって自分の感情が左右されてしまっているということで、そんなに情けないことはないでしょう」

―本書のタイトルにもある通り、水野さんは「成功の99%は情熱」としていますが、残り1%は何ですか?

水野「その質問はよく聞かれるんですけど、どんな言い方をすればいいのか悩んでいるんです。
いくら情熱を持っていても、はしごをかけ間違えたら変なところに登ってしまいます。たとえそうなっても、そこで情熱が消えなければまたはしごをかけ直せばいいのですが、とはいえ自分の成功に必要なものを分析して、軌道修正していく力はやはり大事です。そういう意味では、残り1%は戦略だとか論理的思考能力ではないでしょうか」

―水野さんは、株式会社情熱で企業研修などを行われています。今後お仕事を通してどんなことを実現していきたいとお考えですか?

水野「この本で書いた考え方を身につけたことで、僕自身すごく変わりました。常に情熱を持てるようになりましたし、幸せな時間も増えた。
一方で、同い年の人や、電車に乗っている人たちを見ると、愚痴を言ったり、苦しそうだったりして、すごくもったいないと思っています。
だからこそ、僕は常に情熱を持ち続けるための考え方や行動、意識をいろんな人に分けていきたいんです。まず100万人の人に届けたいという思いがあって、企業研修を通してそれを目指しています。
たった一度きりの人生の大半を占める仕事に対して、前向きに、意欲的に、情熱的に取り組んでもらいたいというのが、僕の一番の思いですね」

―本書をどんな人に読んでほしいとお考えですか?

水野「20代から30代のビジネスパーソンに読んでほしいのですが、一番に読んでほしいのは、25歳当時の自分のような人です。
当時、僕は社会人3年目で、最初に入った会社を2年半で辞めて、2社目は4ヵ月で辞めてしまったので、すでに会社に勤めるのは3社目でした。起業という夢があったのですが、全然そこに進んでいない自分がいて、悶々としていましたね。
こういう人生にしたいというのを漠然と持っていながらも、一向に明確にならないし、行動もできなかった。どうしていいかわからなかったんです。
このまま平々凡々とした人生のまま終わるのかなと思いながらも、まだ人生に希望を持っていましたし、自分の人生をより良くしたいと思っていました。そういう人に読んでほしいですね」

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

水野「名前が“水野元気”で、会社の名前は“株式会社情熱”。本では“成功は99%が情熱”と言っていて、見るからに暑苦しそうですけど、僕は、テンションが高くて暑苦しい情熱家を輩出したいわけではありません。
仕事に限らず、成果を出すのに必要なのは、行動し続けること。それを支えるのが“情熱”です。だから、淡々とやる人もいていいし、ヘラヘラやる人がいてもいいんです。
誰でも、どんな人でも情熱的な人になれると僕は信じていますし、自分を変えたいという人がこの本を読んで、変わるきっかけをつかんでくれたらうれしいですね」
(インタビュー・記事/山田洋介)