銀座メゾンエルメスにて8月18日まで『「ウルの牡山羊」シガリット・ランダウ展』を開催

Hermès（エルメス）は、銀座メゾンエルメスの８FにあるGallery "Le Forum"にて5月17日〜8月18日の期間、『「ウルの牡山羊」シガリット・ランダウ展』を開催しています。


（写真は、『「ウルの牡山羊」シガリット・ランダウ展』の作品の一部／© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès） シガリット・ランダウは1969年エルサレム生まれ、イギリスやアメリカでも数年を過ごし、現在はテルアビブを拠点に活動するイスラエル人アーティストです。2011年、第54回ヴェネツィア・ビエンナーレのイスラエル館を代表し、日本では同年の横浜トリエンナーレで紹介された代表作、西瓜と共に死海を漂うビデオ作品と、死海の塩を結晶化させた彫刻が、記憶に新しい女性作家です。生と死、肉体、人々との関わり合いなど、常に「痛い」を伴ってきた自国の歴史を反映した作品を発表してきました。

 死海の塩を結晶化させた彫刻などで、有名なイスラエル人アーティストのシガリット・ランダウ。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès

 

日本における初個展となる本展覧会では、2つのインスタレーションを発表。フォーラムにおいても初めての試みとなる大規模なビデオ・プロジェクションによる作品「Out in the Thicket　茂みの中へ」は、4台のプロジェクターを使用、2層にわたる天井の高い空間を活かしてオリーブの森を表現します。芳醇な実を求め、収穫機で激しく揺さぶられるオリーブの木々。震える森は私たちが抱く神話を崩すかのようにも、官能的な痙攣にも感じられます。1つ1つの映像は、垂直に映写されたオリーブの木から成り立ち、イスラエル南部のネゲブ砂漠にあるオリーブ園で撮影されました。

作品の１つ、芳醇な実を求め、収穫機で激しく揺さぶられるオリーブの木々。

 © Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès

 

もう一方のインスタレーションでは、50年代イスラエルの典型的な住居空間を出現させ、そこに住んでいたであろう人の生活をひそやかに物語ります。典型的な住居空間を出現させ、そこに住んでいたであろう人の生活をひそやかに物語ります。台所のコンロからは4人の女性のおしゃべりが聞こえてきます。重たい扉で仕切られた廊下や居間には作家自身の家族についての秘密が潜んでいるようです。「Behold the Fire and the Wood 火と薪はあります」と題されたインスタレーションは、イスラエルに50年代に移住してきた人々の「家」を象徴的に見せながら、この土地の歴史や作家のパーソナルな秘密を浮かび上がらせます。

 もう１つの作品では、50年代イスラエルの典型的な住居空間を出現させています。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès

 

 台所のコンロからは4人の女性のおしゃべりが聞こえてきます。
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès

 

いずれの作品も底辺には、息子イサクを神に捧げようとした旧約聖書のアブラハムの逸話のように「犠牲」への考察が流れます。暴力的な方法で振るい落とされるオリーブの実、戦禍の歴史のなかで家庭を守り続ける女性、ユートピアを夢見て入植しつつ、挫折を味わう1人の青年。常に「犠牲」を内容しながらも、その境界を消滅させる融点や沸点を目指すような、ポジティブかつ力強い表現は、国や宗教を超えた「希望」を造形化しているともいえるでしょう。

 

 

【『「ウルの牡山羊」シガリット・ランダウ展』概要】

 

　■開催日：2013年5月17日（金）〜8月18日（日）会期中無休

　■開催時間：月曜〜土曜11:00〜20:00（最終入場19:30）

　　　　　　　日曜11:00〜19:00（最終入場18:30）

　■入場料：無料

　■場所 : エルメス銀座店　東京都中央区銀座5-4-1 

 

 

　【問】エルメスジャポン tel：03-3569-3300

   URL：http://www.hermes.com/