『ライフ・オブ・パイ』

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『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で2度目のアカデミー賞監督賞を獲得した名匠アン・リーが、監督を予定していた米FXの政治サスペンスドラマ『Tyrant』のパイロット版を降板すると発表した。『Tyrant』は、世界的名監督が初めて手掛けるTVシリーズとして大きく注目されていただけに、降板のニュースに衝撃が広がった。

監督は20日午後、カンヌ国際映画祭の審査員として滞在中のカンヌから、次のような公式声明を発表した「残念ながらFXのパイロット『Tyrant』から降板することをご報告します。このような卓越したドラマ企画に関わることを楽しみにしていましたが、『ライフ・オブ・パイ〜』の制作と宣伝に4年半の月日を費やした結果、休養を取る必要があることがわかりました。全力投球できないまま企画に関わることは、優れた作品の将来性を損ないかねず、許されない行為です。この素晴らしいプロジェクトが成功しますよう、FOX21とFXの健闘をお祈りします」

米Deadlineによると、監督は『Tyrant』の製作総指揮ハワード・ゴードンに電話を入れ、『ライフ・オブ・パイ〜』の制作で燃え尽きてしまったこと、心身ともに限界に達し、これ以上前に進めない状態であることを「とても感情が高ぶった」口調で伝えてきたという。

中東国家の政変に巻き込まれるアメリカ人家族を描いた社会派サスペンス『Tyrant』は、クリエイターに『24』『HOMELAND』のハワード・ゴードン、ギデオン・ラフ、『LOST』のクレイグ・ライトら実力派を揃えたFXの自信作だ。豪華な製作陣に加え、アカデミー賞授賞式からわずか2週間後にリー監督の就任を発表し、今年夏には製作を開始する予定だった。

近年、マーティン・スコセッシ監督やキャスリン・ビグロー監督のように、アカデミー賞監督賞を受賞した映画監督をTVシリーズが獲得する例が相次いでいる。今回の『Tyrant』も、受賞直後のリー監督を獲得して最強の布陣を敷いたかと思われたが、勇み足が裏目に出てしまったようだ。降板は残念だが、ここは十分に休養をとってもらいたいものだ。(海外ドラマNAVI)



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