超・愛妻家 大田正文さん

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勉強会に参加したことがない人も、行ってはみたが続かなかったという人も必読! 年間300回以上勉強会に参加したことがある達人や、多くのデキる経営人材と接しているヘッドハンターが、スキル磨きから人脈づくりまで徹底指南。

マーケティングや経理といった特定分野を自主的に学ぶ会、書籍や雑誌などの読書会、さらには「文房具朝食会」のような趣味的な集まりなど、いま勉強会がブームの様相を呈している。

一方では、「勉強会にやたら参加するのは仕事のできない暇な人だけ」という批判の声も聞こえてくる。賛否両論に耳を傾けつつ、真に意義ある勉強会のあり方を考えたい。

まずはミスター勉強会ともいうべき大田正文さんの意見を聞こう。大手IT企業の営業マンである大田さんは、土日をフル活用して300回以上も勉強会に参加した年もある。

現在は、「日本経済新聞を読む朝食会」や「手帳術朝食会」などの勉強会を主催して人気を博している。大田さんによれば、参加者の中心は20代から40代前半。バブル崩壊以降に社会に出たビジネスマンたちだ。

「もう会社には頼れないと肌で感じてきた世代です。自分でキャリアを切り拓いていくしかない。向上心と不安の両方を抱えているのだと思います」

年間約100人の経営人材を紹介するヘッドハンターであり、社長経験者だけが集まる「経営のプロの勉強会」の世話役を務める岡島悦子さんも、大田さんの見方に賛同する。

「いま、キャリアのパラダイムシフトが起きています。労働寿命が50年に延びた一方で、日本企業の平均寿命は30年。今後、1社だけで勤め上げられる人は少数派になるでしょう。会社でがんばっていれば大丈夫な右肩上がりの時代は終わりました。自分の市場価値を自分で上げ続けなければなりません。キャリアの自己責任が問われています」

会社の仕事だけに終始し、たまの飲み会も同僚と行く。こんな生活を続けていると価値観や考え方が同質化し、激変する社会の動きから取り残されてしまう――。この危機感が、業界も年齢も違う人と肩書抜きで付き合うことのできる勉強会へと足を向けさせているのだ。

「ほとんどの勉強会は、社名や役職などの肩書に関係なく、参加者個人が好きなテーマで集まっています。フラットに付き合えるところが若い世代に受けているのでしょう」(大田さん)

会社の枠組みを超えた勉強会の強力な「インフラ」となっているのが、近年爆発的に普及しているフェイスブックなどのSNS。「クラウド」や「物流」など興味のあるキーワードで検索すれば複数の勉強会が簡単に見つかる。メンバー間の交流や出欠管理にも便利なツールだ。

大田さんによれば、東日本大震災以降は「みんなの力を集める」「つながる」「社会に役立つ」といったキーワードを掲げた連帯意識の強い勉強会が増えているという。

そもそも勉強会とは、1人きりではなく他者と一緒に学び合い高め合うもの。社内キャリアへの不安、SNSの普及、大震災の発生といった要素が重なり合い、いま「社外つながり」を求めた勉強会が激増しているのだ。

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超・愛妻家 大田正文
平日は大手IT企業に勤める営業マン。早朝や休日は延べ会員数2000人を超える合計5つの勉強会を主催する。Facebook「愛妻家大田正文」で検索、Twitter:aisaikamasa、google:「愛妻家」で検索。

プロノバ社長 岡島悦子
ヘッドハンター。ハーバードMBA。三菱商事、マッキンゼーなどを経て2007年プロノバ設立。年間約100人の経営のプロ人材の紹介実績をもつ。著書に『抜擢される人の人脈力』など。

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(ライター 大宮冬洋=文 小林雄一=撮影 PIXTA=写真)