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 アメリカで、その年度の「サイテー映画」に授与されるゴールデンラズベリー賞(通称・ラジー賞)。毎年アカデミー賞授与式の前日に受賞作品および受賞者が発表されており、今年は日本時間2月24日が開催日だ。

 アカデミー賞が米アカデミー会員ら映画業界人によって選ばれるのに対し、ラジー賞は会費25ドルを支払えば誰にでも投票可能。つまりラジー賞は人気投票的側面ももった賞なのだ。ただし、本当に観客を失望させた作品が選ばれることも多い。選ばれる作品がどちらに当たるかはさておき、今年もアカデミー賞に勝るとも劣らない個性的な作品たちが候補になっている。MOVIE ENTERでは、第33回ラジー賞争いの見所と、注目作品をピックアップしてご紹介する。

ゴールデンラズベリー賞とは
映像製作・映画宣伝のジョン・ウィルソン氏が1980年に設立。アカデミー賞授賞式の前夜、ハリウッドのルーズヴェルト・ホテルで発表される。受賞者は8mmフィルム缶の上に金色のラズベリーをかたどったトロフィーが与えられる。略称である「ラジー(razz)」とは、アメリカ英語で、からかう、侮辱する、無礼を働くという意味が由来。設立当初は、正真正銘の「最低映画」が選ばれていたが、近年は輝かしい実績に見合わない、とんでもない役柄を演じた俳優や、前評判と成績のギャップが激しい人気作が受賞することが多い。

「第85回アカデミー賞&第33回ゴールデンラズベリー賞」特集ページ

注目の三大作品
今回「サイテー映画」のために設けられた賞は10部門。1部門や2部門なんてケチなレベルではなく、圧倒的な人気度(サイテー度)で複数ノミネートされた作品が3つも存在し、例年になくハイレベルな争いになっている。果たして最多受賞を果たす最高の「サイテー映画」はどれか?注目の3作品をご紹介しよう。

10部門11ノミネート トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2

圧倒的な知名度と人気
 日本でも知名度抜群、ご存知ヴァンパイアロマンス超大作が本年度最多ノミネート。実はこの『トワイライト』シリーズは、3作目『エクリプス トワイライト・サーガ』以降はラジー賞の常連。それほどの人気シリーズとなったということか。

 作品の知名度とともに、“ロブステン”ことロバート・パティンソン&クリステン・スチュワートの注目度も急上昇。実生活でも恋人同士である彼らの熱愛・不倫・破局・復活は世間を騒がせ、話題に事欠かない作品である。映画自体も、シリーズ初期のロマンス満載のテイストから、ぶっ飛んだバトルものに路線変更した結果、男の子も楽しめるポップコーンムービーとしての人気を獲得した。そのかいあってか、全部門で候補となっており、「サイテー映画」の最右翼に名乗りをあげている。

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7部門8ノミネート That's My Boy(原題)

コメディ・キング、安定の強さ
昨年度『ジャックとジル』で、前人未踏の全部門受賞を果たしたアダム・サンドラー。彼が主演し、同じ「サタデー・ナイト・ライブ」出身のアンディ・サムバーグと共演した新作コメディが、安定の強さで今年もノミネートされている。
 
 コメディ作品にとって、ラジー賞ノミネートは人気の証といえよう。本作は「音信不通だった息子のもとに、ダメ親父が訪ねていく」という王道コメディものながら、お下劣なギャグとややマンネリとなったカメオ出演など、サンドラーへの期待とのギャップが原因でノミネートされた可能性が高い。人気の指標でもあるラジー賞から姿を消せば、本当にアダム・サンドラーの人気に陰りが見えてきた、ということ。アメリカでは子供たちに最も人気のある俳優に与えられる「キッズ・チョイス・アワード」を2年連続で受賞するなど、まだまだ彼の人気は高いようだが、本年度の受賞数によっては今後が変わってくることも…。

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6部門7ノミネート バトルシップ

完全無欠のポップコーンムービー
戦艦ボードゲームを映画化したSF超大作が、ノミネート数で3番目と大健闘。アジア・ヨーロッパでの先行公開では好調な興行成績をおさめたものの、アメリカ本国ではマーケティングに失敗し振るわなかった異色の作品。やはり成績と期待度のギャップが原因でのノミネートと思われる。

 地球侵略に来た異星人と海兵たちがひたすらに戦う、単純明快なポップコーンムービーながら、老人兵の登場、宇宙人との素手での殴りあい、チキンブリトーを巡る因縁や、浅野忠信の大活躍などの燃える展開に、日本国内では高い評判も得ており、TSUTAYAレンタルランキングでは4週連続首位も獲得している。ラジー賞へのノミネートが発表された際には、多くの熱狂的なファンがTwitter上で喜びの声を上げて話題となった。

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★バトルシッパーVSトワイライターVSアダム・サンドラー、勝つのはどの作品?
それぞれ熱狂的なファンを持つ3作品。日本でのファンの注目度は本国アメリカ以上だ。ラジー賞ノミネート発表時には、歓喜したファンの間で「バトルシッパー」なる言葉も誕生した。あなたはバトルシッパー?トワイライター?それともアダム・サンドラー?
ラジー賞ノミネートに湧くバトルシッパーたち-Togetter





★全ノミネート作品

最低映画賞

・『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・『That's My Boy(原題)』
・『バトルシップ』
・『The Oogieloves in Big Balloon Adventure(原題)』
・『ジャックはしゃべれま1,000(せん)』

最低監督賞

・ビル・コンドン『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・ショーン・アンダース『That's My Boy(原題)』
・ピーター・バーグ 『バトルシップ』
・タイラー・ペリー『Good Deeds(原題)』「Madea’s Witness Protection(原題)』
・ジョン・パッチ『Atlas Shrugged: Part II(原題)』

最低主演女優賞

・クリステン・スチュワート『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』 『スノーホワイト』
・キャサリン・ハイグル『ラブ&マネー』
・ミラ・ジョボビッチ『バイオハザードV リトリビューション』
・タイラー・ペリー『Madea’s Witness Protection(原題)』
・バーブラ・ストライサンド『The Guilt Trip(原題)』

最低主演男優賞

・ロバート・パティンソン『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・アダム・サンドラー『That's My Boy(原題)』
・ニコラス・ケイジ『ゴーストライダー2」『ハングリー・ラビット』
・エディ・マーフィ『ジャックはしゃべれま1,000(せん)』
・タイラー・ペリー『バーニング・クロス」 『Good Deeds(原題)』

最低助演女優賞

・アシュリー・グリーン『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・リアーナ 『バトルシップ』
・ブルックリン・デッカー 『バトルシップ』『恋愛だけじゃダメかしら?』
・ジェシカ・ビール『Playing For Keeps(原題)』 『トータル・リコール』
・ジェニファー・ロペス『恋愛だけじゃダメかしら?』

最低助演男優賞

・テイラー・ロートナー 『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・ニック・スウォードソン 『That's My Boy(原題)』
・バニラ・アイス『ザッツ・マイ・ボーイ』
・リーアム・ニーソン『バトルシップ』『タイタンの逆襲』
・デビッド・ハッセルホフ『ピラニア リターンズ』

最低スクリーンアンサンブル賞

・『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・『That's My Boy(原題)』
・『バトルシップ』
・『The Oogieloves in Big Balloon Adventure(原題)』
・『Madea’s Witness Protection(原題)』

最低脚本賞

・『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・『バトルシップ』
・『That's My Boy(原題)』
・『Atlas Shrugged: Part II(原題)』
・『ジャックはしゃべれま1,000(せん)』

最低リメイク・パクリ・続編賞

・『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』
・『ゴーストライダー2』
・『ピラニア リターンズ』
・『Red Dawn(原題)』
・『Madea’s Witness Protection(原題)』

最低スクリーンカップル賞

・『新・三バカ大将 ザ・ムービー』の「ジャージー・ショア』のキャスト2人
・『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』のマッケンジー・フォイ&テイラー・ロートナー
・『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』のクリステン・スチュワート&ロバート・パティンソン
・『Madea’s Witness Protection(原題)』のタイラー・ペリー&彼の女装した姿
・『That's My Boy(原題)』のアダム・サンドラー&アンディ・サムバーグ、レイトン・ミースター、またはスーザン・サランドン

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