リカちゃん電報(5,775円/送料・メッセージ料・税込) (C) TOMY

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1869年生まれの電報だが、メールや携帯全盛のいま、「サクラサク」「チチキトク。スグカエレ」などは、もはや古典の域。電報の使い方としては祝電や弔電くらいしか、すぐに思いつかない人も多いのでは?

現代ではどんなふうに電報が使われているのだろうか? 電報サービスを提供する株式会社ヒューモニーに話を聞いた。

「用途としてはやはり結婚式やお悔やみごとが多いですね、ただ、いずれも昔ほど急を要することはなく、気持ちを届けるのにどんな形がよいのか、じっくり考えてから選んで贈られるようになっています。電報というよりもギフトとして贈る場合が増えてきたように感じます」
というのは同社の広報担当者。

たしかに最近は、ぬいぐるみ電報やプリザーブドフラワー電報など、電報のスタイルも多彩。同社でも2007年から販売している「リカちゃん電報」が好評だそう。
「タカラトミーとのコラボレーションによるウエディングドレス姿のリカちゃん付き電報で、毎年トレンドを研究してデザインを変更しています。メイクも幸せで華やかな表情が出るように工夫しているんですよ」
これまでに約3万人が利用しており、毎年新しいモデルの発売を楽しみにしている人も多いとか。

このリカちゃん電報、実は使われ方もおもしろい。
「やはり結婚式の祝電として贈られる場合が最も多いのですが、ほかにも使用シーンは広がっています。たとえば、結婚する花嫁さんがリカちゃん世代のお母さんに感謝をこめて結婚式後に贈ったり、女の子の誕生祝いとして祖父母からお孫さんに送られることも多いです。お祝いの女子会に合わせてレストランに贈る方もいらっしゃいますよ」
利用者は圧倒的に女性が多いが、なかにはプロポーズのとき相手に贈る男性も。また、自分自身へのご褒美として買う人もいるという。

もちろん、こうしたユニークな電報の使い方は「リカちゃん電報」に限った話ではない。
「朝、出かける間際にささいなことで喧嘩したとき、旦那様がメールではなく電報で奥様に謝罪の言葉と日頃の感謝の言葉を送り、非常に感動されたというエピソードもあります」
もはや電報もコミュニケーションツールのひとつなのかも?

また、年末のこの時期は、お線香付電報(香電)「大輪(たいりん)」もよく使われているそう。
「喪中はがきで知った訃報に対して、お悔やみの気持ちを伝えるために利用されています」
最近は縁ある人の逝去を喪中はがきで初めて知る人も増えている。お正月の松明けに寒中見舞いを出すのでもよいが、一刻も早くお悔やみの気持ちを伝えたい、という人にとっては電報も選択肢になっているようだ。

「電報は、受け取ったお客様から、わざわざ手で届けてくれることに対してお礼の言葉などをいただきます。それほど心のこもったメッセージを手渡しでお届けできるのは電報だけなのではないでしょうか? 一度電報を使ってみると、相手に届く言葉の“チカラ”を実感いただけると思います」

緊急案件だったかつての電報とは違う、新たな電報の使い方。アイデア次第で、まだまだいろいろなシーンに使えそうだ。
(古屋江美子)