日没後にライトアップされた眠れる森の美女の城。

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今ディズニーランド・パリでは、20周年最後のシーズンを彩るクリスマス・プログラムであふれているらしい。「らしい」という語尾が示す通り伝聞です。ディズニーに対する関心が世間よりかなり低いと思われる筆者は、この話題に「ふーん」で終わり「どちらにせよ、行かないな」と思っていたのだが、今月のある日、一通の手紙がディズニーランド・パリからわが家に届いた。

そこには「ディズニーランドの忘れられないクリスマスにご招待します!」という見出しとともに「年間パスポートを差し上げます」と言った内容が……。ディズニーランド・パリでは、しばしば「誕生日の月に2名で訪れた場合1名分無料」「2度目の来園無料」「12歳以下無料」といったプロモーションをおこなっている。以前どこかで書いた住所がディズニーの顧客リストに残っており、巡り巡って今回のクリスマスプレゼント招待に繋がったと思われる。

とにかく一度来園せねば年間パスポートを発行できないそうなので、貧乏性に負けてしぶしぶ行ってきた。年末のディズニーランド・パリはどんなところなのか? 

まず、ディズニーランドに関心がない理由の一つが待ち時間だった。 以前、東京のディズニーリゾートを訪れたとき、滞在時間のほぼ全てがアトラクションの待ち時間で占められ、「もはや来るまい」と(周囲からのバッシングが怖いので)密かに誓った。

しかしパリは日本に比べて待ち時間が少ない! 訪れた日は週末だったにもかかわらず、最長がビッグサンダーマウンテンの75分。タワー・オブ・テラーは15分。ファントムマナー(ホーンテッドマンション )に至っては入場即アトラクションへご案内の奇跡。

日本と比べここまで待ち時間が短いと、ビジネス的にどうなのかと思い調べてみた。仏レキスプレス誌によると、20周年という節目を迎えた今年、ディズニーランドとウォルト・ディズニー・スタジオ・パークを含むユーロ・ディズニーは、来場者が1600万人となる新記録だったそうだ。売店、ホテル、レストランでの売り上げは2.3%押し上げられた。しかし全体の収支は8560万ユーロ(約90億円)の純損失となっている。これは新規アトラクションや大規模な改修のためだそうだ。加えて、赤字は今に始まったものではなく、開業 4年以来続いているという。台所事情は苦しそうだ。

さて悲観的な話題は見なかったことにして(なにせ年間パスもいただいたのだし!)本題へ戻ろう。

ディズニーランド・パリで特筆すべきは(もちろんパレードやシーズン毎の園内装飾もそうだが)、日没後パークの中心部に立つ眠れる美女の城をスクリーンに、音と光で作り出されるショー「ディズニードリーム」だ。『ピーターパン』や『不思議の国のアリス』など、ディズニーおなじみの物語のヒーロー、ヒロインが映像で登場するこのショーは、ワールドプレミアとしてパリでおこなわれている。特に『ノートルダムの鐘』の主人公・カジモドが、ノートルダム大聖堂に見立てられた眠れる森の美女の城を背景に動き回る姿は、とてもフランスらしさを感じられる。

当初しぶしぶと言いながら、結局帰ったのはこの日の閉園時間だった22時。なんだ、面白いぞディズニーランド……。パリのキャストは東京みたいに機敏に動かないが、それも息が詰まらなくていい。 出口の門をくぐる時には、コネタ編集部に頼み込んで、これからは月一でディズニー記事を書かせてもらおうかと思ったくらい心でミッキーが踊る……。

ちなみにパリの客層は、大人のカップルより小さな子供を連れたファミリーが圧倒的に多い。 これなら一人で行っても男二人で行っても、日本よりは肩身の狭い思いをせずに済むかもしれないと、日本のディズニーに伴いがちなテーマを思案しながら岐路についた。
(加藤亨延)