どのぐらい使ってますか?(写真はイメージです)

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電話料金の請求書で「パケット代」の項目を見るたび、計算上の金額と「定額」との大きな差に、「今月はウン十万円か〜、今月もよく使ったなあ」と、なんだかトクした気分になってしまう自分を、つくづくゲスだと思う。
それにしても、パケット定額プランに入っていない場合の数十万円という金額が、「定額」というだけで数千円におさまる、この不思議。
他の商品と比較するのはナンセンスだけど、9割引でもきかないほどの叩き売りぶりって、いったい何なのか。

CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会)に聞いてみたところ、
「確かに不思議ですが、それは事業者さんがそれぞれ決めていることなので、事業者さんにしかわからないことなんですよ」とのご回答だった。
そこで、ある通信事業者の広報部に問い合わせたところ、一般論として以下の説明をしてくれた。
「『パケット』をご存知ですか? これはパケット通信における情報単位で、1パケット=128バイトとして、1パケットあたり0.1円とか0.3円とか料金プランによって幅がある中で計算されます。料金体系は、2段階まで上がるプランと、完全定額との2種類があります」

「定額」がどのように決められているかというと……。
「今はデータ通信料が増えているなか、月に使えるデータ量というのがある程度見えることを想定して、決めています。データ通信がパンクしない範囲で、今後ネットワーク拡張することも踏まえつつ、現時点でのネットワークのコストがペイできる金額というのが、4000円から6000円ぐらいになるのです」

でも、「4000円から6000円でペイできる」と考えると、そもそも定額プランにしない場合の数十万円って、どういう計算なんでしょうか?
「これは説明が難しいんですが……。5年前や10年前など、スマートフォンが普及する前のケータイの時代には、1パケットあたりで計算した際、データ通信のコストが2000円から3000円ぐらいでペイできていたんです。ところが、スマートフォンが普及すると、データ通信料が何百倍と増えてしまいました。その際、一から新しい計算方法に変更できれば良かったのですが、従来の計算方法を踏襲しつつ、世界基準に合わせることによって、おかしくなってしまったんです。数十万円が数千円に値引きできると考えると、違和感はあるのですが、従来の計算方法を残しつつ、ペイできる金額を定額としているんです」

つまり、「ペイできる金額」が定額で設定されているわけだから、「叩き売り」でユーザーがトクしているわけではない。とはいえ、計算上は数十万円のものを数千円に割引されているわけで、これには違和感はあるが、悪い気はしないから、まあ良いってことか……。
(田幸和歌子)