これが噂の「鉄聞」。特急「いさぶろう・しんぺい号」が描かれている。色鉛筆で車体の色を塗るのも、結構大変なのだ

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東京近郊の鉄道ファンの間で、密かに話題になっているフリーペーパーがあるのをご存知だろうか?名前は「鉄聞(てつぶん)」。「鉄道にまつわる新聞」だから「鉄聞」だ。2011年の春に第1号が発行されて、渋谷にあるフリーペーパーの専門店Only Free Paperに置かれて以来、手作り感あふれる手描きのイラストや文章が話題に。特別号を含めて既に7号が発行されている。無数に存在する企業モノのフリーペーパー(広報誌)の中で、ひときわ異彩を放っている「鉄聞」の制作者、JR九州東京支店の保戸田麻衣子さんと、上司で副支店長の宮野原佳さん、山本哲朗さんにお話を伺った。

――鉄道会社が手描きのフリーペーパーを発行するのは珍しいと思うのですが、発行のきっかけは?
保戸田さん「渋谷にあるフリーペーパーの専門店Only Free Paperにパンフレットを持っていったら、『手描きだったら置けるんですけど…』という話になりまして。早速、上司(宮野原さん)に『手描きのフリーペーパーを作りたいです』と相談したら、『面白そう』ということですぐにOKが出たんです。ちょうど、イラストの上手な社員がいたので2人で作ることにしました。1人は春に退職してしまったので、今は1人で作っています」
宮野原さん「JR九州が発行している『Please』というフリーペーパーはあるのですが、手描きのものはありませんでしたし、若い世代の方々に、九州にはこういう列車が走ってるんだということを知ってもらうためには、手描きのイラストを中心にした『鉄聞』は、良い機会になるのではないかと思いまして。『鉄聞』を作るにあたって、さすがに社長の決裁はとっていませんが、社長が『鉄聞』を目にする機会があって、その時は『良いね!こういうのがお客さまに伝わるんだ!』と、ベタ褒めされました(笑)」

――なんだか、皆さん、ノリが良いですね(笑)。「鉄聞」は特急のイラストが印象的ですが、保戸田さんが新聞を作る時に、こだわっている点はありますか?
保戸田さん「使用する色です。なるべく、本物の車両の色に近づけるように色を塗ります。例えば、特急『いざぶろう・しんぺい号』だったら、赤色に濃い青色の系統の色を混ぜたりしつつ」

――特に思い入れのある号は何号ですか?
保戸田さん「『特急あそぼーい!』を紹介した第2号ですね。頑張って描きました。ちなみに、イラストを描く時は、立ち上げた頃にイラストを描いてくれた元同僚に、どのようにして特急を描いたらいいのか、相談したりしてます(笑)」

そのほか、写真とイラストとの比率をどうするか…などを細かく考えながら、通常業務の忙しい合間をぬって、作っているという。


●「鉄聞」には未掲載。「ななつ星in 九州」DXスイートは、3泊4日110万円!

「鉄聞」には、JR九州の人気の観光列車が毎号紹介されているが、まだ「鉄聞」には紹介されていない、話題の特急を紹介。

宮野原さん「来年10月15日に新しい特急の『ななつ星in 九州』が運行を開始します。1泊2日コースと3泊4日コースがありまして、1泊2日コースは九州の北西部にある福岡→佐賀→長崎→熊本→大分の5県を、3泊4日コースは福岡→大分→宮崎→鹿児島→熊本の5県を周遊します。ちなみに、既に第1期の予約は終了したのですが、一番高価な部屋のDXスイート(110万円)の運行開始日の予約の倍率は76倍でした。その他の席も、第1期の予約の倍率は7.3倍でしたね」

――110万円っていうと、鉄道ファンでもなかなかチケットを買うのに勇気が必要ですが、どういう年齢層の方に人気ですか?
宮野原さん「やっぱりシニア層ですね。50代後半から60代の前半くらいまでの方ですね」
山本さん「110万円は一部屋の価格ですので、2人で割ると55万にはなりますよ…」

――優雅な旅ですね!そのうち、ぜひ「鉄聞」でも紹介してください。それでは最後に、保戸田さんから「鉄聞」について、皆さんにメッセージを。
保戸田さん「鉄道について親しんでいただけるように、これからもサボらないように発行していきますので、よろしくお願いします。あと、JR九州東京支店のサイトにはフェイスブックの『いいね!』ボタンもありますので、ぜひ『いいね!』を押していただけると嬉しいです」

ちなみに、「鉄聞」の現物が手に入らなかったという方や、Only Free Paper(渋谷パルコ4階)に取りに行かれないという方は、JR九州東京支店のサイトでバックナンバーを閲覧することができるのでぜひ。(やきそばかおる)

JR九州東京支店
http://www.jrkyushu.co.jp/tokyo/