こんな事ができるらしい。魔法みたいな技術だ!

写真拡大 (全2枚)

記者を生業にしていると、求められる技術がいくつかある。まず始めに挙げられるのは、言うまでもなく文章力。そして、もう一つ。忘れちゃならないのが、カメラの腕でしょうか。
取材時は、取材対象をバッチリ画像として記録しておかなければならない。被写体は人物の場合もあれば、商品の場合もあり。また、お店取材の場合は建物を撮影することになる。

……最も厄介なのは、建物を撮影する場合なんです。当然、道路は天下の往来。道行く人の邪魔にならないよう、タイミングを見計らってパシャリとシャッターを押す必要があるわけで。
ということは、カメラ前に人が横切らないタイミングを伺わなければならないのです。記事と全く関係のない人が写真に写り込んでいたら、色々と問題ですし。しかし、それが結構難しくて。自転車が入り込んだり、車からクラクションを鳴らされたり。そんで「あっ、スイマセン!」みたいな。

だからこそ、この新しい試みがありがたい! 株式会社モルフォが開発した「モルフォ オブジェクト イレーサー」なる新技術を活用すると、横切る何かがあったとしても、撮りたい人・建物だけを残して保存することができるみたいなんです。
要するに誰かが横切ったとしてもそれだけを削除し、目当ての被写体をグッドタイミングで撮影したような画像が出来上がる……、そんなミラクル技術がこれです。

「連続した複数枚の画像から動いている被写体の軌跡を“残像効果”とし、1枚の画像に合成する『StroboPhoto』という技術を5年前に製品化していました。そして、その時すでに『StroboPhoto』の類似技術を利用し、動く被写体を除去する技術が容易に製品化できることもわかっておりました」(同社・担当者)
移動物体を連写撮影して各フレームのどこに移動物体があるかを認識し、移動物体をすべて残すように合成するのが「StroboPhoto」の技術。これを応用すれば、認識後に移動物体を消す技術も可能だとわかっていた。
だが当時は携帯電話の連写機能が一般化されていない時代。またニーズ面での心配もあり、製品化には踏み切らなかった。しかし、時代は変わったのだ。
「最近のスマートフォンでは連写機能が標準化しているので、せっかくのこの機能を活かせないか? と、改めて動く被写体を除去する技術の製品化を目指しました」(担当者)
そうして完成となったのが、今回の新技術である。

ところで「モルフォ オブジェクト イレーサー」の、詳しい原理について。何がどうなって、この技術は成し遂げられているのだろう?
「連続撮影した5〜15枚の画像を使います。まずは、動被写体の判別処理を行います。具体的には画像を細分化した個々のブロックで、ある画像とその他の画像との間でどの程度色の差があるかを比較します。その結果、色の変化が少ない箇所は背景が写っている可能性が高く、逆に色の変化が多い箇所は動いている被写体がある可能性が高いと判断します」(担当者)
次に、撮影した画像を1枚ずつ合成(=重ね合わせ)。背景と判定された箇所は合成を強めに、逆に動被写体と判定した箇所は合成を弱めにすることで、最終的に動被写体だけが除去された画像が完成するというわけだ。

ところで、一つ質問させていただいていいですか? こういう技術って、今まで他に無かったっけ。今までに聞いたことあるような、無いような……。
「スマートフォンで動作する技術としては、初めてのものであると認識しています。デジタルカメラにおいては、富士フィルムさんの“動体キャンセル機能”が近いでしょう」(担当者)
両者を比較すると、「モルフォ オブジェクト イレーサー」の優位点として以下が挙げられるという。
(1) より多くの枚数の画像を使うことで、動被写体の判別精度・除去性能をアップさせることが可能
(2) スマートフォン上で被写体をタップすることで、任意の被写体のみを除去させることが可能

そんな今回の新技術、我々はいつ触れることができるのでしょうか?
「早ければ来年の春、もしくは夏頃に本技術が搭載されたスマートフォンが発売されるかもしれません。なお、現状のターゲットはスマートフォン、タブレット、およびデジタルカメラです」(担当者)

楽しみですねぇ。だって、まるで魔法みたいなんだもん。私の未熟なカメラ技術を、その最先端の新技術でバックアップしてくださいな!
(寺西ジャジューカ)