解禁日は各小売店の店頭にボトルが並べられ試飲のスタンドが立った。

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史上最悪の不作と予想された今年のボージョレ・ヌーボーの出来。フランスでも日本より8時間遅れて、ブルゴーニュにあるボージョレ地区12アペラシオンのワインが解禁された 。本国フランスではどのような報道がされたのか。

赤桃やキイチゴ、グロゼイユのような味わいに形容される今年は、ブドウ栽培者にとって霜やひょう、多雨による病気など困難が伴う年だった。仏パリジャン紙によれば、今年のボージョレ・ヌーボーの生産量は半減した一方で相場は高くなったが、財務面で各ワイナリーの経営は不安定化したそうだ。約2300いる経営者のうち50から300がこの理由により業務を停止するかもしれないという。仏ディレクト・マタン紙によれば、10%から15%の値上げになったそうだ。

近年フランスにおけるワイン生産量は減少しており、昨年は1億1500万本を数えた。ボージョレ・ヌーボーは約3500万本で、その半数が輸出された。日本がもっとも多く約800万本、次いで米国の240万本、ドイツの130万本となっている。今年は23万ヘクトリットルのボトルを海外向けに販売する。

仏ニュースチャンネルBFMTVは、世界でのボージョレ・ヌーボー解禁の様子を紹介した。日本では、ボージョレ・ヌーボーの解禁が国民的行事になっていると伝えられ、運送コストを減らすためにプラスティック・ボトルのものが輸入されていると紹介された。ロシアでも市場は広がりつつあり、モスクワのカフェ・プーシキンでは240ボトルの注文が入ったという。アルバニアでは首相が解禁を執りおこない、カザフスタンなど海外約120ヵ国が今年最初のワインを祝ったそうだ。

仏リベラシオン紙は、解禁日の前日に仏極右政党・国民戦線の党首マリーヌ・ル・ペン氏がボジョレー地区を訪問したことを伝えた。 前回の仏大統領選第一回投票で17%の支持を得たル・ペン氏は、同地区においては20%を超える支持を得ている。大企業による大規模経営ではなく伝統的な家族経営による農業を守ろうと訴えている。

ボージョレ・ヌーボー解禁に続いて、ブルゴーニュでは今週末16日から中心都市ボーヌで「栄光の3日間」と呼ばれるワイン祭がはじまった。いよいよフランスはワインの季節に突入した。
(加藤亨延)