「ラブメーター」を用いた実験。ブレスサーモの発熱量が高い。

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「異常気象」と言われて久しいけど、今や耳タコ状態。確かに、例年と比較して暑くはある。……と思ってるのも、束の間。いい加減、寒くなってきましたね! この時期に来て、ようやく衣替えのスタートです。そりゃそうか、10月も終わりかけなんだし。
そこでご登場願いたいのが、話題の「発熱素材」。パッと見は薄着だが、その実すごく暖かい。毎冬、お世話になりっぱなしです。

そんな素材の威力、身を持って体験してきました。10月4日、ミズノが開催したのは「ミズノ ブレスサーモ・勉強会」。
皆さん、「ブレスサーモ」って御存知ですかね? 93年に同社が特許を申請し、94年の冬季オリンピック・日本代表のスキーウエアに活用されたこの素材。すごくイイらしいのです。

では、どうイイのか? そこをわかりやすく解説してくれるのは、“米村でんじろう先生の一番弟子”チャーリー西村氏! 今まで800回以上のサイエンスショーや実験教室を開いているという西村先生が、「ブレスサーモ」のメカニズムをオリジナル実験でわかりやすく教えてくれるそうなんです。
「ブレスサーモの大きな特徴といえば、温かくなる“発熱”。水分を吸収する“吸湿”。そして、臭いを取る“消臭”があります」(西村氏)

なるほど。では、まずは“発熱”に関する実験からスタート! その前に、西村先生からブレスサーモについて一言解説が。
「ブレスサーモは、水分を吸収して温かくなる素材なんですね」(西村氏)
へぇ〜。水を含むと冷たくなるイメージがあるもんだけど、いやはや不思議です。そんな性質を踏まえ、西村氏が手に取ったのは「ラブメーター」なるアイテム。透明の容器に揮発性の高い赤色の液体が入ったオモチャらしいです。そして、もう一方には「ブレスサーモ」、「ポリエステル」、「レーヨン」という3素材の繊維が。
その3つの繊維でラブメーターを包み、そこにスプレーでシュッシュッと水分を10回振りかけてあげる。さて、どうなるか。まず、ポリエステルは? ……うん、ほんの少しだけ「ラブメーター」の水位は上がったみたい。ちょっとだけ発熱したんでしょう。続いては、レーヨンに水を振りかける。おっ、徐々に上がってきた。本当に徐々に徐々に水位は上がり、最後はようやく上り詰めた感じです。では最後に、ブレスサーモはどうなのか? ……スゴい勢い! あっという間に上昇し、ほんの数秒で頂上まで到達してしまいました。
「どうやら、ブレスサーモが最も発熱量は大きいようです!」(西村氏)

それをもっとわかりやすく体験させてくれたのは、次の実験。レーヨンの繊維を左手に、ブレスサーモの繊維を右手に持ち、水分を振りかけ、モミモミする。
まずは、左手の方をモミモミしてみましょうか。あぁ、温かくなってるかもね。ほのかに感じます。では、右手の方をモミモミしてみる。……熱っ! 「温かい」どころじゃなくて、「熱い」んです。レーヨンとブレスサーモ、明らかな差がありました。

続いては、“吸湿”についての実験に移行! ここに登場するは、ブレスサーモとポリエステルの繊維で一杯になった2つのボックスでした。そして、その中には加湿器が。当然、加湿器のスイッチを入れると、ボックス内は蒸気で満たされるわけで。そして、この中にセロハンで作ったお花を植えてあげる。そんなことしたら、花がしぼんじゃうよ……。案の定、両方の花はクーっと曲がってつぼみになってしまいました。
「はい、スイッチオフ!」(西村氏)
ここからが、見ものである。ボックス内のブレスサーモには、水分を吸着する性質が備わっている。それが発揮されれば、花はつぼみじゃなくなるのでは? ポリエステルの方と比較して見てみよう。では、ここから5分待ってください。
……ハイ、5分経ちましたね。さてさて確認すると、明らかにブレスサーモの方の花が咲き誇っている。満開どころか、逆反りになってるもの! 一方、ポリエステルの方は花がつぼみのままです。この吸湿効果があれば、体から出る水分を“温かさ”に変換してくれるわけだ。

最後に、“消臭”効果に関する実験であります。今度も、やはり2つの容器が登場。片方にはポリエステル繊維が入っており、もう片方にはブレスサーモ繊維が入っている。そして、その中にお酢を3滴ずつ投入します。で、その状態でシェイク! じゃあ、臭いを嗅いでください。消臭効果が高ければ、クサくないはずだから。
じゃあ、まずはポリエステルの方から。ためらいはあるけど、勇気を持って嗅いでみます。……クッ! 不意に、“出来立てのちらし寿司”を至近距離で嗅がされたみたいな心境だぜ。強烈です。
では、次にブレスサーモの方を。……あぁ、うん。臭いはある。でも、かすかにだ。遠くの方から、ちらし寿司の臭いが伝わってきたかのような感覚。明らかに違うもんだね! この素材のアウターならば、ずっと着込んでても臭いは心配無さそうです。

そんなこんなで終了した、今回のサイエンスショー。その素材の威力を、文系の私にもわかりやすく説明してくれる試みでした。
それにしても、もう冬か……。
(寺西ジャジューカ)