受給ラインが議論される生活保護だが、iPhoneの通信費を支払うことは許容範囲なのか。1000人アンケートの結果は?

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生活保護を支給する基準は、憲法第52条にある「健康で文化的な最低限の生活」ができているかどうか、という点にある。これを「生存権」というが、一体どのような状態が「健康的で文化的な最低限の生活」なのか、そこに具体的な記述はない。

生存権に詳しい立命館大学大学院の立岩真也教授もこう語る。

「最低限といっても、月に2万円で暮らせるという人もいるだろうし、それこそ人によっていろいろです。誰もが納得する『最低限度の生活』を考えても結論は出ません」

しかし、多くの人が「これは生活に絶対必要」と考えるモノを探れば、その“平均”くらいは出せるはず。そこで本誌では、「生活保護で受け取ったお金でやってもいいと思うことは?」というアンケートを実施。男女別、世代別、年代別の合計1000人を対象とした。

それぞれの質問項目に対し、「生活保護で受け取ったお金でやってもいい」と答えた人の数は以下の通り。

●食

吉野家で牛丼並盛(380円)を食べる……618人

吉野家で牛丼並盛+生卵(430円)を食べる……438人

●生活必需品

19型の薄型テレビを買う……502人

40型の薄型テレビを買う……71人

●交通手段

都市部で車を所有する……41人

都市部で自転車を所有する……501人

●情報通信

インターネット契約をする……317人

携帯はiPhoneを使う……84人

「牛丼並盛に生卵を付けるのはNG」「iPhoneは言語道断」など、世の中の人々が何を「生活保護費で買ってもいい」と考えているか、実に生々しい結果が出た。しかし、実際の生活保護制度では、もう少し柔軟に各種生活必需品の購入が認められている。

『野たれ死にするくらいならどんどん生活保護』の著書があり、ケースワーカー(生活保護を受けている人に対してさまざまな働きかけをする職員)として10年以上のキャリアがある大学講師の多村寿理氏が説明する。

「生活必需品の購入には一般的な基準として“7割ルール”というのがあります。その人の住んでいる地域で、およそ7割の人が持っているようなモノであれば持てるという基準です。例えば、昔はエアコンなんて贅沢品なのでダメだといわれていましたが、今は大丈夫です」

この「7割ルール」を適用すると、「インターネット契約」「テレビ」「自転車」などは、生活必需品として判断されるが、「都市部の車」「スマホ」などは却下される可能性が高いというわけだ。

(取材/頓所直人)

■週刊プレイボーイ26号「1000人に聞いた!生活保護ギリギリライン」より