日本酒メーカー、10年間で74社が倒産--業歴100年以上の老舗企業が7割超

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東京商工リサーチはこのほど、日本酒メーカー倒産動向調査の結果を発表した。

それによると、日本酒メーカーの倒産は、2002年〜2011年の10年間で74社に上り、そのうち業歴100年以上の老舗企業が7割以上を占めていることが分かった。

10年間の倒産件数を年別に見た場合、2005年は3社と最も少なかったが、翌年の2006年には10社に急増。

さらにリーマン・ショックが発生した2008年には、最多件数となる12社が倒産している。

2009年以降になると倒産件数は減少し、2011年は2番目に少ない5社となっている。

東京商工リサーチによると、2005年9月から酒類販売が全面自由化され、従来の酒屋のほかにスーパーやコンビニでも酒類が販売されるようになり、売れ筋が高いブランド力や知名度を持つ有力商品に集中する傾向が強まったという。

同社はこのような流通の変化が、「地元中心に展開してきた中小メーカーが淘汰に追い込まれた原因の一つに挙げられる」と分析している。

負債総額については、2002年と2003年が136億円と最高額を記録。

これは、2002年に兵庫県の多聞酒造(ブランド名「多聞」、負債額95億円)、2003年に和歌山県の吉村秀雄商店(同「日本城」、同116億円)の大型倒産が発生したことが要因と見られる。

10年間に倒産した74件の日本酒メーカーのうち、創業年が確認できた71社を見ると、最も多かったのは「100年以上150年未満」で30社(42.2%)。

以下、「50年以上100年未満」が16社(22.5%)、「150年以上200年未満」が9社(12.6%)と続いた。

また、「業歴300年以上」は2社、「200年以上300年未満」は11社で、業歴100年以上が7割強(73.2%)の52社となり、老舗企業の倒産が目を引く結果となった。

なお、平均業歴は140年だった。

倒産した日本酒メーカーの倒産直前と10年前の売上高を比較した場合、売上高が判明した51社では「50%以上減」が19社(37.2%)と最多。

次いで、「30%〜50%未満減」が17社(33.3%)、「10%〜30%未満減」が9社(17.6%)で、売上高が3割以上落ち込んだメーカーが70.5%を占めた。

一方、売上高が増加したのは5社(9.8%)にとどまっている。

倒産メーカーのうち直近売上が判明した65社について売上高を見てみると、最も多かったのは「1〜2億円未満」で19社(29.2%)。

以下、「1億円未満」が18社(27.6%)、「2〜5億円未満」が17社(26.1%)と続いた。

74社の倒産原因は、「販売不振」が最多で42件(56.7%)。

以下、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」14件(18.9%)、「設備投資過大」と「他社倒産の余波」が同数で5件(6.7%)だった。

形態別で見ると、破産が26件(35.1%)、民事再生法25件(33.7%)と清算型と再建型がほぼ同数、以下、銀行取引停止13件(17.5%)、特別清算10件(13.5%)との順となった。