“脱藩官僚”古賀茂明氏は、2012年、日本のギリシャ化を懸念する。それを避けられる唯一の道は、政権交代。第3勢力の結集だという

写真拡大

 1月13日、野田政権の新内閣が発足した。だが、直後に行なわれた各メディアの世論調査で支持率の上昇は見られず、消費税増税などに対する国民の不信感があらわになった形だ。

 すると見えてくるのが、衆議院の解散総選挙。政権奪回に向け自民党は意欲を見せるが、元経済産業省で公務員改革を推進した古賀茂明氏は、「国民は民主、自民のダメぶりをよくわかっているから、両党とも単独過半数は取れない」と分析、解散総選挙後の政界を次のように推測する。

     *     *     *

 みんなの党や大阪維新の会、自民が連合して政権を奪取するという予測もあるけど、おそらくはそうならない。だって、民主も自民も増税派なんだよ。むしろ、双方の守旧派が手を握り、大増税のための大連立を組む危険性が高い。そうなると最悪だ。増税の大合唱の中で改革が完全にストップしてしまう。

 もし、2012年に希望を見いだす局面があるとしたら、それはみんなの党と大阪維新の会が起爆剤となって、改革を目指す第3勢力が結集されるというシーン。大阪都構想に民主、自民はすり寄り、賛成するはず。今度の衆院選は維新の会を敵に回したら、関西では勝てないからね。

 だけど、みんなの党と維新の会はどんどんハードルを上げるだろう。これから出てくる地方自治法改正案は大阪都構想実現のための手続きだけではない。大阪都と特別区の事務配分や財政調整のやり方を自治体主体で柔軟に決めることができ、しかも、希望する自治体があれば自由にその方式を選べるということにするんじゃないかな。今は地方自治の制度は全国一律で国が決めてるけど、自治体ごとに自由にしちゃう。かなり大胆な案だ。

 さらに、次の選挙の争点に浮上しそうなのが、成長のための改革をやるかやらないか。それも農協とか医師会とか電力会社とかの巨大な既得権勢力と「戦う」覚悟があるかないかということだ。

 この「戦う成長戦略」の下に第3勢力を結集すれば、日本の借金を返す力がよみがえるかもしれない。河野太郎さん、小泉進次郎さんといった政治家が既得権益の打破を叫んで自民党を割って出るような状況になれば希望がある。

     *     *     *

 はたして自民、民主でもない新興の第3勢力が政権を取る時代が来るのか。そのとき、本当に日本は変わるかもしれない。

(撮影/山形健司)

【関連記事】
野田改造内閣が推し進める財政改革には「ウソが交じっている」と古賀茂明氏
“脱藩官僚”古賀茂明が断言「改革なき消費税アップで、2012年は日本のギリシャ化が進む」
年収200万円以下の若者世代へ「脱ニッポン」のススメ
改革派官僚・古賀茂明氏が警告する、2013年「政府閉鎖」危機
鈴木宗男「国益を損ねた外務官僚とは刺し違えてやります。今度は7年くらい覚悟して」