担当M(以下M):今年の日本代表をラモスさんに総括していただきます。

ラモス(以下R):今年の最後にわかったことがありますね。

M:と言いますと?

R:僕は北朝鮮戦を見て腹が立ちましたね。どうして日本人選手だけが倒れているの? どうしてもっと激しくぶつかり合わなかったの? タフにプレーできなかったの?

M:日本選手が相手選手の勢いに飲まれていましたね。

R:そういうの、僕は好きじゃなかったですね。アウェイだけどピッチの中は11人対11人なんだから。サポーター関係ない。そこで戦えなかった。だって相手の戦術はたいしたことがなかったんですよ。勢いだけでやってた。それなのにどうして負けるの。戦えていた選手は少なかったよ。長谷部、今野、前田、岡崎……たちはしっかりやっていたけれど、もっと戦う選手がいないと苦しいよ。闘莉王や大久保みたいに気持ちを前面に出してファイトできる選手がいないと、ああやってずるずる負けてしまうね。もっとも、遠藤や香川を使えばもうちょっと展開が違ったかもしれない。それでも、彼ら抜きでどこまでできるか試したという采配は今後のことを考えるとよかったでしょうね。

M:最後に問題点は見つかったものの、とりあえず1敗だけで今年を終わりました。その今年の戦いの中でよかった選手は誰でしょうか。

R:今野、遠藤はコンスタントによかったですね。今野は闘争心を態度で示すタイプだけど、そろそろ言葉でチームを奮い立たせたほうがいいでしょうね。それから香川は出た試合で必ず活躍できたから、それがよかった。長谷部もチームの心臓でした。もう少し余裕があってもいいけどね。川島もよかった。

M:では今年の日本代表のMVPは?

R:遠藤です。

M:今年は若手選手の台頭もありました。

R:清武はよかったね。

M:北朝鮮戦でも彼を中心にボールを回す時間もありました。

R:だけど、まだスタートから出られる選手じゃない。途中でボールに絡めなくなっていたでしょう? ただ、途中交代で出ると確実に流れを変えられる。北朝鮮戦もあの難しいゲームに出て頑張ったというのは評価できると思います。あとは原口が、勝負するところで前を向いて仕掛けられたから、それはよかった。でもね、若手はまだ期待が先行していると思いますよ。大事なのは来年。そこでしっかり結果を出してほしいね。せっかく選ばれているんだから、練習でもレギュラーのメンバー以上の気持ちを見せないとダメですね。そういう部分に注目して僕は代表チームを見ていますよ。