橋下氏が「吉本興業はがめつい」と言えば、吉本ならびに芸人サイドは「知事は、街と演芸の関係がわかっていない。文化を知らん」と応酬した。
 「そもそもワッハ上方は恒久的に使うということを前提に、ノック(横山)さんが知事の時に、オーダーメードで建てたもの。劇場やら展示施設やらがあって複雑な造りになってるから、もし大阪府が出て行った場合でも、簡単には次の借り主が見つからんのです。それを、さも簡単に…」(ある吉本興業OB)

 『ワッハ上方』の問題は、最終的に難波での存続が決まったが、橋下氏に対する「文化に冷たい、理解のない知事」というイメージが残った。この反発が今なお尾を引き、それが米朝一門の動きにもつながったという見方も頷ける。
 「橋下さんは、すべてに計算ずくで文化に冷たい。それに、言うてることがコロコロ変わる人やから、ワッハの問題かて、いつまた再燃するかわからん。そういう人はちょっと応援しにくいですよ」(桂某氏)

 それにしても、このような批判が出だした芸能界は、元はといえばタレントでもあった橋下氏の守備範囲ではなかったのか?
 「関西の芸能界には、ハイヒールに桂きん枝、やしきたかじんというように、橋下シンパがいるのは事実。しかし全体的に見れば、橋下さんのウケは良くないです。それに、橋下さんの芸能界人脈は“島田紳助ルート”がメーン。それも響いているようですね。あとは、橋下氏のタレント活動にかかわるプロダクション『タイタン』次第ということになるでしょう」(芸能記者)

 ここにきての橋下批判は、芸能界以外の思わぬところからも上がってきた。共産党から大阪市長選挙への出馬を予定していた、渡司考一・元大阪市議が11月5日、反橋下陣営の結集を大義名分に立候補をとりやめたのだ。これによって既成政党は、いまだ態度を保留している公明党以外、ほとんどすべてが反橋下・反大阪維新となった。
 時ならぬ共産党からの“連帯の挨拶”に自民党、民主党は「こんなこともあるのか」と驚きを隠せない。しかし、思惑はどうあれ共産党「十万の味方」は、確実に橋下陣営のプレッシャーになりそうだ。
 橋下人気には逆らえない、というこれまでの雰囲気に、次第に変化が起こりつつある。反橋下陣営のこのような動きに対し、橋下氏はツイッターの中でも「笑っちゃう」と一笑に付し、「これで市民派対規制勢力の構図がはっきりした」と強気の姿勢を崩さない。

 ダブル選挙は、大阪始まって以来のガチンコ選挙になりそうだ。