紳助親分の数いる舎弟の中でも、最重要任務を託されているのが橋下徹大阪府知事(42)だ。紳助一家がもくろむ「大阪侵攻」の先兵として、敵対する者をなぎ倒していかねばならない。ところが、橋下知事の力にかげりが見え始めた。ついには、その原因が「兄貴分」にあるようなのだ。

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 11月27日投開票の大阪市長選挙を「大阪統一」の絶好の機会と捉えた橋下知事。みずから知事の椅子を降り、市長選挙に出馬。府知事選との「W選挙」を画策していた。

 ヤクザ真っ青の橋下知事の「ケンカ術」は連戦連勝。当然、「W選挙」でも「大阪都構想」を巡り、反目となっている平松邦夫大阪市長(62)の?タマを取る?つもりだった。

 ところが、その勢いが失速。橋下知事が「抗争」を仕掛ける際の最大の武器、支持率の低下が見られるというのだ。

 府政担当記者が言う。

「8月末、朝日新聞の世論調査で『大阪市長に誰がふさわしいか?』の回答が、橋下知事を選んだ人が40%だったのに対し、平松市長は32%という僅差の結果が出ました。これには、橋下知事サイドも愕然としていました。しかし、マスコミが表には出さない調査では、80%以上をキープしていた支持率が50%台にまで下落しています」

 目下、この支持率急降下の原因としてささやかれているのが、紳助の引退騒動である。

 紳助引退の翌日、会見で橋下知事はこう話した。「紳助さんの番組がなければ、府知事になれるわけがなかった」

 紳助が司会を務めていた「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)への出演が、橋下知事の知名度を全国区にしたのは間違いない。とはいえ、公職にある人間が暴力団との交際を認めた者に謝意を述べるのは、やはり奇異に映る。

 紳助は引退会見で極心連合会・橋本弘文会長を最後までかばった。紳助の橋本会長への心酔ぶりと、橋下知事の紳助への忠誠心は相通ずるものを感じさせる。

「そのせいか、北新地で紳助と橋下知事が連れ添って、しばしば飲み歩いていたとか、その席上で紳助は『ワシの言うことは、橋下は何でも聞く』と、完全に『舎弟』扱いしていたなんて噂が、まことしやかにささやかれているんです」(在阪のテレビマン)

 もちろん流言飛語の域を出ない話だが、ここにきて2人の怪しい関係が立て続けに報じられた。

 09年の橋下知事の政治資金報告書の中に、政治活動費の内訳に〈飲食代5万5600円 寿司はせ川〉との記載があったこと。さらには、紳助が競売物件を買う際の法的アドバイスをしていた。さらには、紳助が沖縄に傾倒したのは、橋下知事が推し進める「カジノ特区」の利権を狙っていたためだ、などなどである。

 この現状にシビレを切らした橋下知事は「絶縁覚悟」で紳助に「舎弟盃返上」を申し出たというのだ。